山口周氏

 

世界中で今、ビジネススクールに通う人の数は減少しています。


時代の移り変わりが早くなり、
先の見通しが一層立ちにくくなっている現在、
ビジネスの学校として機能するはずのビジネススクールが
衰退し始めているのはなぜなのでしょうか?

山口氏はその答えが”アート”にあると述べています。

 



1.問題を解決するビジネスモデルの限界

ビジネススクールの衰退、
これはビジネス界で求められる能力が変化したことが原因であると
山口氏は述べています。

では、ビジネススクールで学べることとは何でしょうか。
もちろん色々ありますが
そのうちの1つは問題を解決し、答えを出す能力です。

20世紀までの世界、特に日本には、
数多くの問題がいたるところに溢れていました。

そのため、問題を解決することは、
そのまま価値を生み出し、
会社にとって意味のある行動に繋がり、
問題解決能力を持つ人が
会社にとって価値のある人材となる時代でした。

しかし、20世紀の中で数多くの問題を解決し続けた結果、
21世紀に入って解決すべき問題は少なくなりました。
結果、重箱の隅をつつくような問題しか解決されなくなったのです。

今までと異なり、社会が解決しなくてはならない問題を
自動に提供することはもはやなくなりました。

このような状況で、
社会から上がってくる問題をただ解決することは、
問題という根本の要素がなくなり、
需要を失なってきているのです。

 

 


 

2.問題を見つけ出し、意味を作り出すビジネスモデル

21世紀に入り、
社会から自然と問題が上がって来なくなった時、
必要な新しいビジネスモデルとは何なのでしょうか?

山口氏はそれは問題を見つけ出し、
意味を作り出すビジネスモデルであると述べています。
社会から自動的にに出てくる問題が枯渇した現在では、
まず問題を会社が自ら見出すことが必要となってきます。

少なくなった問題を顕在化することで、
市場に対して問題を提起することが第一ステップとなります。
そして、その問題を解決することが次のステップです。

20世紀までは、様々問題があったので、
問題を解決し続けることで会社を維持することが出来ましたが、
現在では問題の数は少なく、問題を見つけ、
解決し続けるだけでは会社経営を維持することが難しくなってきています。
そこで、問題を解決すること、
すなわち役に立つことのみを追及するのではなく、
意味を作り出すことが重要であると山口氏は述べています。

では、役に立つものと意味のあるものは
なにが異なっているのでしょうか。

役に立つものは、最も役に立つもの一つがあれば
需要を満たすには十分です。

一方で、意味のあるものは消費する人たちの嗜好の数だけ
存在することができます。
モノがあふれ、利便性が追及しつくされてきた現代においては、
かえって消費者にとって意味があるものを
生み出すことこそが重要になっています。

 


 

3.問題を見つけ出す、意味を作りだすために必要な”アート”の力

問題を見つけ出し、意味を作り出すことは、
どのような力が必要となるのでしょうか。

その答えを、山口氏は”アート”にあると述べています。
アートを生み出すように、
理想の状態を考えだすことで、
それと現実との違いから問題を見つけることができます。

また、山口氏はこの”アート”を文化とも言えると述べています。
文化を学ぶこと、すなわち教養を得ることで
現代の常識にとらわれずに、世の中を見ることで、
問題を見つけることができるのです。

また、理想の状態を追及することで、
少なくとも自らに取って意味のあるものができ、
さらにはその意味に共感する人々にとって
意味のあるものを生み出すことに繋がります。

したがって、”アート”は現在のビジネスにとって
必要となってくるのです。

 

本記事の作成者: 田中 大貴