「PDCA」、ビジネスマンなら誰でも聞いたことのある言葉でしょう。
改めて「PDCA」とは、
「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」
の頭文字を取ったもので、
業務を効率化するための一つの手法として定着してきました。
しかし、この「PDCA」は変化の激しい現代において
今まで通りに機能しないと言われてきています。
そこで今回、従来のPDCAに取って変わる
「すごいPDCA」を孫正義氏のむちゃぶりに対応してきた
元ソフトバンク社長室室長 三木雄信(みきたけのぶ)氏から
ご紹介頂きました。
三木氏は、世の中に定着している
「PDCA」の問題点は企業環境の変化にあるとしています。
その結果として適切にPDCAを回すことができない
と指摘してきました。
「PDCA」の前提だった企業環境は、
安定したものであり将来への見通しがある程度つく時代でした。
そのため、過去の実績やデータをもとに計画(Plan)を立て、
実行(Do)すれば結果を出すことが可能で、
その結果を評価(Check)し、改善(Action)を加えていく
PDCAサイクルを回すことができました。
しかし、現代は変化が激しく不安定な企業環境であり、
過去から未来を推測するのは極めて困難です。
移り変わりが激しく予測困難の世の中になったので、
計画(Plan)した通りにサイクルを回すことが
できることはそう多くはありません。
計画通り実行(Do)できたとしても、
新たなテクノロジーなどで状況が変化してしまうと、
計画時に定義した前提のもと評価(Check)ができません。
ゆえに改善(Action)を加えることが難しくなります。
このように、「PDCA」は安定が保証されない現代において、
正常に機能する可能性が低いのです。
三木雄信氏が提唱するすごいPDCAとは
「DPCA(Do→Plan→Check→Action)」
つまり計画(Plan)と実行(Do)の順序を
入れ替えてサイクルを回すことです。
「DPCA」のポイントとして、
同時並行で複数の実行(Do)を行う点、
失敗を想定して組み込む点の二点が挙げられます。
PDCA=Plan→Do→Check→Action
DPCA=Do→Plan→Check→Action
「DPCA」では同時並行して
複数の実行(Do)を行うことが重要です。
なぜなら、前提条件が同じ状況で様々な実行(Do)を試すことができるので、
その状況においての最善策を判断することができます。
従来のPDCAでは、実行時の状況が計画時に定義した状況と異なる問題、
各実行によって状況が異なる問題などがありました。
「DPCA」を活用することでそのような問題を解決できます。
「DPCA」に倣って同じ条件下で複数の実行を行う時、
失敗を想定した上で行うことも重要です。
三木氏はこのことを「鮭の卵理論」と表現しています。
鮭は卵を2,000〜3,000個産むが、生き残るのは2匹だけ。
ビジネスの世界でも同様に、
企業は何十何百と仮説検証を行っても失敗することが大半です。
それを理解した上で一つの結果に一喜一憂せず、
限りなく正解に近い方法を探すことが重要です。
このように、計画(Plan)と実行(Do)の順序を入れ替えて先行して
仮説検証を行う「DPCA」は不確実な現代において、
効果的に機能する手法です。
本記事の作成者: 下境田 直也