社長の仕事とは?

無料レポート 「社長の仕事」とは?

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「社長の仕事」とは?


浜口隆則
 
 

本記事の著者/浜口 隆則
株式会社ビジネスバンクグループ 代表取締役社長

 
横浜国立大学教育学部卒、ニューヨーク州立大学経営学部卒。
会計事務所、経営コンサルティング会社を経て、大好きな起業家を支援する仕事をするために20代で「日本の開業率を10%に引き上げます!」をミッションにした株式会社ビジネスバンクグループを創業。現在は起業支援サービスを提供する複数の会社を所有するビジネスオーナーであり、アーリーステージの事業に投資する投資家でもある。「幸福追求型の経営 / 戦わない経営 / 小さな会社のブランド戦略」など、独自の経営理論にはファンが多い。出版書籍『戦わない経営』、『社長の仕事』は日本国内でベストセラー。

われわれが無知によって道に迷うことはない。
自分が知っていると信ずることによって迷うのだ。
 
ルソー

「社長は、何をすべきなのか?」


 
真摯に経営に取り組もうとしている経営者なら、自分が「社長として何をすべきなのか?」と誰もが悩むと思います。
 
本レポートは、そんな責任感の強い経営者のために、数千社という経営と数千人の社長の現実と趨勢を見てきた私たちが「社長の仕事」についてまとめたものです。
 
「社長の仕事」は多岐に渡りますが、忙しい社長のために、なるべくシンプルにまとめました。一つの考えとして参考にして頂ければ幸いです。

1 「社長の仕事」の定義


 

■ 「社長の仕事」とは?

 
最初に「社長の仕事」の定義から考えてみましょう。
 
【社長の仕事】って何だ?」と聞かれたとしたら、あなたは、どう答えますか?
「自分はこう考えている」という考えを書いてみてください。1分ほどの時間で大丈夫です。
 
   ◇
 
   ◇
 
   ◇
 
   ◇
 
いかがでしたか? 明確な答えはありましたか?
 
 

■ 世の中で一般的に言われている「社長の仕事」

 
世の中で一般的に言われている「社長の仕事」を調べてみるとこのような答えが出てきます。
 
 

①社長の仕事とは:大枠の計画を練ること


社長の仕事の1つは、経営計画を練ることです。中・長期的な会社の事業の大枠を経営計画としてつくること社長には求められます。(*無料レポートこれだけでいい!社長が持つべき経営戦略の基本「たった一つの”経営戦略”」もよければ参考にしてください)
 

②社長の仕事とは:決断すること


社長の仕事の1つは、決断することです。計画を練って終わりではなく、計画を実行に移してよいかどうかの最終判断が社長には必要になります。
 

③社長の仕事とは:資金の管理・調達をすること


社長の仕事の1つは、資金の管理・調達です。会社を安定して経営するには、資金が必要です。投資家や銀行、信用金庫などとの交渉で資金を工面することが社長には必要になります。
 

④社長の仕事とは:従業員の労働環境を整え育成すること


社長の仕事の1つは、従業員の働く環境を整えて育成することです。会社には「ヒト・モノ・カネ・情報」が大切だと言われるように、社員は会社の大事な資産であり、会社が売上を出し、将来的に成長していくためには社員の力が必要です。
 

⑤社長の仕事とは:大口の契約を決めること


社長の仕事の1つは、大口契約を決めることです。社長には、営業においてスーパー・クローザーとして大口の契約を決めることが求められます。
 

⑥社長の仕事とは:社員のメンターとなること


社長の仕事の1つは、社員が仕事の成果を出すために、メンターとなりサポートすることです。社員と伴走をしながら成果を上げてもらうようにサポートすることが社長には必要です。
 

⑦社長の仕事とは:フロントマンとして露出すること


社長の仕事の1つは、フロントマンとして露出することです。メディアに露出をして会社の知名度や商品の知名度を高めるアピールをすることが社長には必要です。
 

⑧社長の仕事とは:責任をとること

 
社長の仕事の1つは、責任をとることです。意思決定をしたことに対する責任をとることや何か問題などがあったときの謝罪なども、社長の仕事に含まれます。
 
いかがでしたか?
あなたが考えられたものと一致するものはありましたでしょうか。
 
 

■ 本当に抑えるべき「社長の仕事」とは?

 
あなたが先ほど、書かれたことや世の中で言われていることは、どれも間違いではなく「社長の仕事」の一部を言い表していると思います。
ただ、私たちが、たくさんの会社を見てきて、このように考えざるを得ないと思わされた定義が、これです。
 
「社長の仕事」の定義: 
会社を永続させるために必要な、すべてのことをすること 

 
本当に残念ながら多くの会社が廃業に追い込まれていくという現実を見てきて、こう覚悟すべきだと深く感じた「社長の仕事」の定義とも言えます。
 
もちろん、実際には、社長がすべての仕事をする必要はないです。むしろ、すべきではありません。
しかし、会社を永続させるために必要なことであれば、私たちが中心となって動かないといけないということです。それを他の誰の責任にもできません。
 
厳しい考え方でもありますが、経営における全責任は、最終的には社長にあるということです。
 
 

■ なぜ継続が大切なのか?

 また、この定義において、なぜ「永続」という言葉を使って「継続」に重きをおいているかと言うと、
 
経営を継続していくことは、すべての社長が最低限に望むことでありながら、最も難しいことでもあるからです。
 
後に詳細を解説していきますが、一時的に成功することは、それほど難しくはありません。しかし、継続的に成功することは、とても難しいです。
 
その難しさが
経営の難しさ」と言っても過言ではありません。
 
経営の継続を重要視するには、もう一つの考え方があります。
 
あなたの会社に売上が計上されていて存在できているということは、誰かの役に立っているということです。誰かの役に立っているということは、それを無くしてしまうことは、困る人が出てきます。
分かり易い例で言うと、水道とか電気が止められたら、とても困りますよね?
 
それと同じで、あなたが提供している物やサービスを買ってくださる人がいるという事は、供給が止まると困る人がいるということです。
ですから、あなたの会社が存在しているのなら、誰かの役に立っているはずなのです。社会の役に立っているのだったら、それを止めるのは出来るだけ避けたいことです。
 
顧客に満足をしてもらう価値が提供できなくて、会社が廃業してしまうこともあります。
しかし、それ以外の要素で、たとえば「社長が経営の要素を知らなかったから」とか「社長が経営をしていなかったから」という理由で会社が潰れてしまうのは、本当にもったいないことなのです。

2 社長の仕事:正しい現実認識


 
「会社の永続」ということをゴールとした時に、
そのゴールに向かって、私たち経営者が「どのような環境の中を進んでいかないといけないか?」ということを考えてみましょう。
 
道路にたとえると「目的地に向けて、どのような状態の道を進んでいかないといけないのか?」ということです。
それは舗装されて楽に歩いていけるような道なのか、それともドロドロの進むのが困難な道なのかということです。
 
私たちが直面する現実と言っても良いでしょう。

  

会社の継続を目指した時に「どういう現実が私達の前に広がっているか?」というと、少なくとも「3つの現実」を認識した方がいいと考えています。
 
 

① たいていの成功は“偶然”である

 
まず一つ目の現実は「たいていの成功は偶然である」ということです。
 
今、あなたの会社は上手くいっているかもしれません。
しかし、それは偶然によって成り立っているかもしれないということです。
実際、私たちが何千社と見ている限り、たいていの会社の成功は「偶然」によって成り立っています
 
もちろん、100%全てが偶然というわけではないです。あなたが苦労して築き上げた部分も多いと思います。
 
しかし、全てではないですが、偶然によって成り立っている要素があるということです。上手くいっている会社でも、自分たちに必要な要素が全て分かっていて、そのすべての要素をゼロから構築できている会社は、ほとんどありません。いくつかの要素は、偶然に成り立っていることが多いのです。
 
反対に「成功し続ける会社」というのは、成功に必要な要素が12項目あったとすると、12項目の全部を知っています
それら12項目の要素が経営を成功させるためには必要だと知っていて、かつ、その一つ一つの項目をゼロから構築することができます。
 

(図1:成功し続ける会社)
社長の仕事 成功し続ける会社の図

 
ですから、環境が変化したことによって、そのうちの一つが失われても、
「あっ、この要素が無くなったな」と素早く察知して、それをゼロからまた構築することができます。
 
だから長期にわたって継続できるのです。
 
しかし、偶然に成功している会社は、弱い要素や欠けている要素がある<図2>のようになっていて、それらの要素が偶然に成り立っています
 
このように、偶然に成り立っている要素というのは、それが無くなってしまっても、無くなったことにすら気づかないことが多いです。なぜなら、その要素をゼロから構築したわけではなく、偶然に成り立っていただけですから、その要素の存在を意識できていないのです。
 

(図2:偶然、成功している会社1)
社長の仕事 偶然成功している会社の図1

 
偶然に成り立っていただけなので、「最近、何か調子が悪いな」と感じたりはしますが、原因は分からない。原因が分かったとしても、自分が苦労して構築してきたわけではなく、然に成り立っていただけなので「再構築」することができないのです。
一度でも経験したことは、再度できる可能性は高くなりますが、初めてのことが簡単ではないのは、誰もが容易に想像できるところです。
 
そして「何が起こっているのか?」分からない間に、急速に業績が低下していってしまいます。
 
これが実際に数千社の経営の趨勢を見てきた私たちが、目の当たりにした現実です。たいていの成功は偶然によって成り立っています。
ですから今、上手くいっているからといって、油断はできないのです。
 

(図3:偶然、成功している会社2)
社長の仕事 偶然成功している会社の図2

 
<図2>よりも、さらに悪い状態の会社も多いです。
<図3>のように、完全に欠けてしまっている要素があるにも関わらず、経営が成り立っているというケースです。経営の良し悪しは総合点で決まっていくので、7〜8割位の要素が揃っていて、それらが十分に強いと、長期的には危険なのですが、短期的には上手くいったりします。
 
このような現実があるので、私たち経営者は、下記のように考えた方がいいと思っています。
 
「少なくとも10年以上、
事業を継続できていなければ、成功しているとは言えない」
 
少なくとも10年以上の期間を成功させ続けることができていなければ、偶然の要素が大きかったということです。
偶然に上手くいっていた会社は、3年から5年のスパンで偶然が失われて、ダメになっていくことが多いです。
 
ですから、最低でも、その期間を継続できたら、偶然ではない「本物の成功」かもしれないということです。
 
偶然が10年以上も続く事は、ほとんど無いです。
ですから、一時的に成功するのは、そんなに難しくはないですけども、成功し続けるのは、とても難しいということです。
 
これがまず一つ目、私たちが覚悟しないといけないことです。
 

② 私たちが提供している価値は必ず劣化する

 
次に二つ目の現実は、私たちが提供している価値は、必ず劣化してしまうということです。
 
とても残念なことですが、ある意味、私たちが時間という命を使って一生懸命に行っていることは、時間の経過とともに、その価値は減少していきます。
 
なぜかというと、2つの原因があります。
 
 

(1)相対的価値の劣化

 
まず一つ目の原因は「相対的な価値」が劣化してしまうことが多いということです。分かりやすく言うと「ライバル(競合相手)が出てくる」ということです。
 
あなたの会社が上手くいけばいくほど、競合相手が出てきます。上手くいっていない時は、誰も真似しようとは思いません。
しかし一度、上手くいき始めると「あのようにすると上手くいくのだな」と考えて、真似をする会社が出てきます。
 
自分の会社だけが提供していた時はいいですが、すぐ隣で同じものを提供されたら、その価値は下がってしまいます
 
なぜなら、その時点で、私たちに「価格決定権」が無くなってしまうからです。
競合相手や代替商品が出た瞬間に、価格を決める権利がなくなり、価格が落ち始めて利益が減少していきます。
そのようにして収益性が下がっていき、あなたのビジネスの優秀性が失われていってしまうのです。
 
 

(2)絶対的価値の劣化

 
相対的価値の劣化という現実も厳しいですが、もう一つ、残念ながら絶対的な価値」も時間の経過とともに失われていくことが多いです。
なぜなら、お客さんは飽きてしまうからです。
 
私たちが、これまでと同じように100という価値を提供し続けていたとしても、お客さんは最初に感じた新鮮な100という価値を感じなくなっていきます。その価値に慣れてしまうのです。
 
この現象も提供する私たちの側としては、とても残念なことですが、逆の立場になってみると、よく理解できると思います。
 
たとえば、車とか家とか高価な物を買った時のことを思い出してみてください。使い始めた時は、めちゃくちゃ大事にしませんでしたか? でも、半年くらい経ったら、泥だらけになったりとかしても気にならなくなってしまう。
また、食べ物とかも同じです。自分が好きな料理も、それを毎日食べ続けたら、たいていの人は飽きてくるものです。
 
お客さんは、私たちが提供するものに変化がなかったり、価値が増えないと、飽きていってしまうということです。ですから、そこでも価値が劣化していきます。
 
厳しい話ばかりのように聞こえてしまうかもしれません。私自身も経営の実践者ですから残念なのですが、それが現実なのです。

③ルールは変わる

 
最後に3番目の現実の話をしていきたいのですが、よく理解していただくために、できれば、下記の「後出しジャンケン」というのを経験してもらえたらと思います。
 
 

<後出しジャンケン>
(1)2人組になってジャンケンします
(2)あなたが後出しできるというルールに変更します
「ジャンケンぽんぽん」と2回「ぽん」と言います
1回目の「ぽん」で相手が先出しします
2回目の「ぽん」であなたが後出しできるとします
(3)最初は、相子(あいこ)を狙ってみてください
(4)次に、勝ってみてください
(5)最後に、負けてみてください

 
 
どうでしたか? 
とても楽しい経験でもあるので、ぜひ、やってみてくださいね。
 
この「後出しジャンケン」から分かることは、3つあります。
 
まず一つ目は、「後出しジャンケン」で相子(あいこ)が最も簡単だったように「真似することは簡単にできる」ということです。
 
これはビジネスの世界でも全く同じです。あなたの事業が、その地域で全く新しいもので、とても苦労した末に成功をつかんだとしても、その後に、それを真似する人たちは、ものすごく楽です。同じことをやればいいだけですから、とても楽です。
ですから、真似する人は一気に増えてしまいます。
 
次に2つ目は、「後出しジャンケン」で勝つことが簡単だったように「今までと同じ流れ、今までと同じルールでの勝負だったら簡単」ということです。「勝つ」というルールだったら慣れ親しんでいるので、簡単にできるわけです。
 
問題は、最後の「負ける」ということです。
「後出しジャンケン」で唯一難しいのは、これまで慣れていない「負ける」というルールに変更された時です。
 
ルールが変わった時、私たちは、すぐには対応できません
「後出しジャンケン」で負けることも、練習すれば簡単にできるようになります。逆をやればいいだけですから、そんなに難しいことではないです。
ただ、急にルールが変わった直後は、できないです。難しいのです。これが私たちにとって、とても重要で、すごく難しい現実だと考えています。
 
ですから、私たちが認識しないといけない現実の3つ目は「ルールは変わる」ということです。
 
ルールというのは、急に変わる場合もありますが、実は、少しずつ変わっていることが多いです。少しずつ変わっているのですが、その変化に気づかなくて、ある日はっと気づいたら「ものすごく変わっていた」ということが多いのです。
 
世の中の変化を、注意深く観察している人は、当然、気付きやすいので、早く対応できます。
しかし、変化に鈍感でいると、対応が遅くなってしまいます
「グーを出してればチョキに勝っていたのに、パーを出さないといけないルールに変更されている」ということに気づかずに、グーを出し続けてしまうのです。
 
そうなってしまうと、そこに対応できるようになるまでの期間は、どんどん業績が悪くなります。その間にお金がなくなってしまって、ダメになってしまうことが多いです。ですから「ルールというのは、絶対に変わっていってしまうのだ」ということを覚悟しながら経営をしていかないといけません。

以上、私たちが「会社の永続」を考えた時に、この3つは現実として認識しておく必要があります。
 

≪3つの現実認識≫
(1) たいていの成功は偶然
(2) 価値は劣化してしまう
(3) ルールは変わってしまう

 
 
 

耳をふさいでいないか?

 
これらの現実には大きな影響力があるにも関わらず、耳を塞いでしまう、目を塞いでしまっている社長が多いです。
確かに、厳しい現実ですから、それらを無いことにしたい心理も理解できます。
 
しかし、そうして気づかないふりをしていると、経営の継続可能性はどんどん低下していってしまいますから、それらの現実と向き合っていくしかありません。

3 社長の仕事:導かれる行動原則


 

■ 3つの行動原則

 
「正しい現実認識」で説明した3つの厳しい現実の中を、私たちは進んでいかないといけないのです。
では、そんな環境においては、どういう「行動原則」を持つべきでしょうか? これも3つに簡潔にまとめています。
 

(1)過信しない

 
本当にシンプルなのですが、最も大事なのが、この一つ目です。
とにかく「過信しないこと」です。
過信することは、負の連鎖を引き起こす元凶になってしまいます。
 
過信してしまった会社がダメになることが本当に多いです。私自身も過信している時期とかはダメになることが多いですし、多くの会社がそうです。なので、とにかく過信しないことが大事です。
 

(2)学び続ける

 
次に「学び続ける」ということが大事です。
多くの成功者が指摘しているように、自分の頭だけでは限界があります。ですから、セミナーに参加したり、本を読んだり、Webで必要な情報を探したりして、様々な学びを得るということが大切です。
 
学ばずに、自分の頭だけの限られた知識の中で仮説を立てている人は、多くの失敗(ムダ)をしてしまい、試行錯誤を繰り返している間に、経済的にも精神的にも疲弊してしまいます。
 
また、世の中の変化を学び続けることも重要です。
世の中の変化を、自分に都合が良い方向に変えることは、現実的には不可能です。その変化に適応していくことしかできないです。
 
ですから、その変化に敏感にならないといけません。変化を敏感に観察して、変化を学び続ける必要があります。
 
本やセミナーなどの外部から学んで「知識を増やしていくこと」と「世の中の変化を把握する」という2つの学びが大切です。
 

(3)行動し続ける

 
最後に、学んだことを生かして、アクションを起こしていかないといけません。行動しない限りは、学んでも何の意味もないです。
行動して自分たちが変化し続けることが必要です。
 

≪3つの行動原則≫
(1)過信しない
(2)学び続ける
(3)行動し続ける

 
 

■ 社長としての実力を高め続ける

 
「過信しない」で「学び続け」て「行動し続ける」ということを実行していけば、少しずつ社長としての実力が高まっていきます。
 
「社長の実力以上に会社は伸びない」と言われています。
 
実際、たくさんの会社を見ていると本当にそうだと思います。社長の実力が低いと、簡単に会社がダメになってしまうという現実を見ることが多いです。
 
前述したように、偶然に上手くいっている場合もあります。でもそれは3年とか5年という少し長い期間で見ると、どこかで偶然はなくなります。残念ながら社長の実力がないと、それを立て直すことができないままダメになってしまいます。
 
ですから「社長力」を高め続ける必要があります
 
失敗する多くの社長が持っている希望的観測と同じように、私自身も成功する前までは「経営が上手くいくと、その状態がずっと続いていく」という幻想を持っていましたが、残念ながら、そうではありませんでした。
 
もちろん、社長としての実力が低かった頃よりは大変ではないですが、会社を継続させていくためには、過信せずに継続して一定の努力をしていく必要があります。
 
ですから、それを覚悟して、社長力を高めるゲームをしているくらいの気持ちで、それを楽しんでやったほうがいいと思っています。

4 社長の仕事:社長力を高める


 

■ 自分と向き合い続ける

 
「社長力を高めるために必要なことは何か?」と言うと、これも色々なことが考えられます。
本質的に最も大切なことは、いかに「自分に向き合えるか?」ではないかと考えています。
 
社長は組織のトップですから、社内の誰かに何かを言われることが少なくなっていきます。ただ、最近、時代が変わってきて、社長に意見を言いやすい環境に変化してきていますので、昔ほど孤高の存在ではなくなってきているのは確かです。
それでも、社長に直接「欠けている点」や「改善点」をフィードバックするのは勇気が必要です。
 
このような事情を考えると、私たち社長には、マイナス面のフィードバックが入ってきていない可能性が高いと想定しておくべきです。
ですから、自らを律したり、自分と対峙していく必要があります。
 

社長の仕事は自分と対峙する

 
どんな分野でも同じだと思います。自分の実力を上げていく時は、自分と向き合わないといけなくなります。社長力を向上させていく時も同じです。
自分の実力を上げていく過程では、自分と対峙する必要があります。
 
 

■ 自分から逃げていないか?

 
しかし、多くの人は「自分との対峙」から逃げしまうことが多い。
私自身も常に感じていることですが、自分の成長を最も邪魔するのは自分であることが多いということです。
 
自分が一番、自分の弱さを知っていますし、自分の弱さに抗うのは、最も難しいことの一つです。
 
自分が、ある意味、最強の敵なのです
 
ですから、自分の弱さから逃げてしまうことが多いので、
自分の今の状態を客観的に見て評価できるような、鏡のような存在があるといいなと思っていました。
 
たとえば、この写真の鏡の中には、数字が浮かびあがっています。このように、鏡の前に立ったら「あなたの社長力は66点です」と出てきたら、「もうちょっと頑張ろう」って気になりませんか?(笑)
 
さすがに66点だったら、不足感が生まれます。
「私は足りていない」と自覚できますし、もうちょっと頑張ろうと思えます。
 
しかし、ある程度のレベルで経営が順調だと、実際には社長としての実力が66点でも、「自分は十分だ」と勘違いしてしまいまうのです。
 
「社長の実力」と「経営の成否」は正比例しています。
 
それは、長期的に見ると真実ですが、短期的には違う場合があります。
なぜかと言うと、偶然によって成り立つ要素が働くからです。
 
ですから、私たち経営者は、経営の業績を気にするのと同じくらい、自分の社長としての実力を、経営の業績と切り離して客観的に把握しようと心がけるべきなのです。
 
しかし現実には、自分の社長としての点数は簡単には分かりません。
だからこそ、根拠はなく、何となく安心しているのです。
多くの社長は、何となく「自分は大丈夫」だと思っています。「自分は80点くらい」だと思っている社長が多いです。
 
世の中の8割ぐらいの社長は自分を80点だと思っていますが、実際は、ほとんどの社長は50点以下です。
 
 

■ 自分と向き合うための鏡

 
社長としての実力が客観的に分からない
→ 何となく80点くらいだと思っている
 → 特に短期的に偶然に成功していると不足感を感じない
  → 油断して、社長としての実力を上げる努力をしなくなる
   → 時間が経過すると失敗する
 
というようなメカニズムで中長期的に失敗していく社長をたくさん見たので、社長には「自分と向き合う鏡」みたいな物が必要だと考えて「社長の仕事」という本を書きました。
 

社長の仕事の目次

 
お陰様でベストセラーになったのですが、この本は最初、自分のために書いていました。
自分の弱い所やできていない所を、自分自身に突きつけて、それらと向き合う目的でした。
ですから、当然と言えば当然なのですが、厳しい内容になっています。
 
「社長の仕事」を理解して実行して「会社の継続」を実現していくために、私たち経営者が気をつけないといけないことを<122項目>にわたって解説させてもらいました。
 
様々な内容がありますが、この中から、経営者として、とても大事だなと思われる項目を「自分と向き合うための5つの鏡」として、ご紹介します。
 


 

 
【無料レポート】数千人の起業家を見てきて分かった 成功し続ける社長がもつ「5つの特徴」
 
(本レポートの流れとしては読んでいただきたいのですが、全体として長くなってしまうので、泣く泣く分割しました)
 
こちらも無料で読んでいただけるようなレポートにしましたので、良ければ、参考にしてください!

 
 

5 社長の仕事:経営力を高める


 

経営力を高める第一歩は?

 
最後に、経営力を高めていくための基本を一緒に考えていきましょう。
 
経営力を高めるための基本であり、最初の第一歩は「経営の難しさ」を改めて理解することだと考えています。
 
成功し続けている経営者は、この難しさを十分に理解しています。
しかし、失敗してしまう経営者は、この難しさを理解できていません。
 
何でもそうですが、その難易度すら分かっていなかったり、難しい理由すら分かっていなければ、成功し続けることは夢のまた夢の話です。
 
 

「経営の難しさを知ること」

 
 
 

経営を難しくしている「3つの理由」

 
経営を難しくしている理由はたくさんありますが、まず下記の「3つの理由」を理解しておくと、継続への重要な第一歩になるはずです。
 
 

(1)倒すべきピンが何なのか分かっていない

 
経営を難しくしている理由を、ものすごく単純に考えて「ボーリング」にたとえて説明していきます。
ボーリングは10本のピンを一定の距離の場所からボールを投げて倒すというスポーツですが、経営においては、そもそも社長が倒すべきピンが何なのか?」を分かっていないことが多いです。
 

ボーリングであれば、10本のピンが並んでいて、それが逆ピラミッドの形になっていますから、真ん中のセンターピンを狙って倒すことができれば、効果的に攻略していけると分かっています。
 

経営はボーリングのようなもの

 
それらが「事前に」分かっています。
事前に分かっていることは、大きなアドバンテージです。
 
しかし、事前に分かっていても、なかなか簡単にストライクを取ることはできません。
 
しかし、経営の世界では「倒すべきピンが何なのか?」すら分からずに、日々、経営をしています。
どこに何があるか分かっていないので、まともな方向にボールを投げていないことも多いです。隣のレーンとか、ピンの反対方向に投げてしまったりしています。
知らないがゆえに、全く見当違いのことをやってしまっていることも多いということです。
 
「知らない」ということは怖いです。自分が全く見当違いのことをやっていることにすら、気づかないわけですから。
 
この「何をすべきか分かっていない」という点が、多くの会社が失敗していく最も大きな原因です。
 
 

(2)どうやったら倒せるのか分かっていない

 
次に2つ目の難しさは、仮に「倒すべきピン」が分かったとしても、「どうやったら倒せるのか分かっていない」ということです。
倒し方が分からないし、実際に倒すこともできないということです。
 
ボーリングもそうですよね。何をすればいいのか分かってはいるけど、ストライクを取ることは難しい。これは「実行の難しさ」です。
 
 

(3)倒し続けることが出来ない

 
最後に3番目の難しさは「継続の難しさ」です。
ボーリングでも、一回はストライクが取れても、二回、三回、四回と連続で取ることが難しいのと同じです。
 
経営を永続してやるということは、この3つができないといけません。
ですから、難しい。簡単ではないのです。
 
 

      • ≪ 経営を難しくしている3つの理由 ≫
      • (1)倒すべきピンが何なのか分かっていない
      • (2)どうやったら倒せるのか分かっていない
      • (3)倒し続けることが出来ない

 
 
この3つの難しさの中で、最も費用対効果が高い解決策は、一つ目の「知らない」ということを解消することです。
長期的に成功し続けるためには、まずは「倒すべきピンは何なのか?」を知った方がいいです。
 
経営を継続していくためには「こういう要素がある」という「経営の要素と構造」を、まず知った方がいいということです。
 
ボーリングのピンが10本あるのを知っているのと同じことです。
経営における、それらのピンが分かれば、その一つ一つを倒していけます。隣のレーンに投げたり、反対方向に向かって投げたり、端っこのピンばかりを狙うというような、ムダな行動がなくなります。
 
多くの社長は「知らない」というだけで、多くの無益な行動を繰り返して疲弊した末に、失敗しているのです。
 
ですから「経営の要素と構造を知る」ということが最も簡単で、費用対効果の高い方法と言えるのです。
 
 
もちろん、「知る」という第一段階だけでは十分ではなく、ストライクを取り続ける必要がありますから、常に会社や社長としての実力を俯瞰的・客観的に見て、定期的に点検していく必要もあります。
 

10年後も成功し続けるために

 
この3つの段階が必要であり、実際に多くの会社が失敗してしまうので、「経営は難しい」という定説が生まれてしまっています。
 
しかし、本当に経営は難しいのでしょうか?
 
 

経営が難しいのではなく、経営者の力が不足している

 
私たちが数年前に(経済産業省や国税庁のデータを)調べたところ、過去30年間に廃業した会社は【281万9千社】もありました。
毎年【約9万4千社】も廃業していることになります。
また、廃業せずに済んで、生き残った現存の会社の中で、赤字の会社は【72.8%】でした。つまり、現存する会社のほとんどの会社が赤字であり、廃業予備軍と言えます。
 
 

赤字+廃業している会社は87%
  

 
 
総合して考えると、全体の【約87%】が失敗しているという計算になります。
 
この客観的な事実から考えると「経営は難しい」と感じてしまいます。
確かに、経営は簡単ではありません。
しかし、潜在的には優秀な人が多い経営者たちが、これほど多く失敗してしまうほど難しいとは思えません。
 
数千社の経営と数千人の社長と接してきて分かったことは、経営が難しいのではなく、私たち経営者の方に課題が大きいということです。
 
経営が難しいわけはありません。どちらかというと、経営を難しくしているのは私たちなのです。
 

この事実は、よく「高跳び」(や「棒高跳び」)に例えてお話しすると理解していただけることが多いです。
 
経営というバーは、そんなに高い所にあるわけではないです。頑張れば跳べる所にあります。少なくとも、経営に挑戦するような潜在的には優秀な人たちが、87%も失敗するほど高い所にあるわけではないです。
 

経営はぶっつけ本番ではできない

 
しかし、それほど高いバーではなかったとしても、跳ぶ人が訓練していなかったり、トレーニングしていなかったりしたら、当然、跳び越せません。バーが高くなくても、跳ぶ能力が不足していれば、バーにぶつかってしまいます。
 
経営というバーは、実は、多くの人が考えているほど高くはありません。しかし、練習をせずに高跳びをすることと同じように、跳ぶ側が学んだり、準備していないから、跳び越えられないだけなのです。
 
今日も、多くの社長が経営というものを知らないまま経営をして、失敗していきます。そして、その失敗する多さと悲惨さだけを見て「経営は難しい」という神話が生まれてしまうのです。
 
経営そのものは、難しくありません。
経営をする、私たちに不足があるのです。
 
 

最も簡単な解決策

 
そうであれば、解決策は、とてもシンプルで簡単です。
 
まず私たちが最初にすべきことは、「経営を難しくしている3つの理由」の1番目の難しさを解消すること。つまり、「経営を知る」ことです。
 
一度、経営というものを知ってしまえば、それほど難しいことではないなと感じることができます。
実際、成功し続けている経営者も、たくさん存在します。私も経営を知るまでは大変でしたが、25年間、経営者として複数の会社を経営し続けられています。
 
大切なのは「体系的に」知ることです。経営に関する様々な領域の知識を、バラバラと知っていく努力も、やらないよりはマシですが、圧倒的に効率が悪いです。
まずは、本質的に大切なことを構造的に知ることが効率の良い方法です。
 
経営の「要素」と「構造」を体系的に知りましょう。
 

 
「経営の要素と構造を知る努力をしよう」

 
 



【無料レポート】「経営とは? −経営の要素と構造−」
 
(本レポートの流れとしては読んでいただきたいのですが、全体として長くなってしまうので、泣く泣く分割しました)
 
こちらも無料で読んでいただけるようなレポートにしましたので、良ければ、参考にしてください!

 
 
これらを一度、頭の中に入れて「自分のモノ」にしてしまえば、経営という、よく分からないものが「整理」されていきます。
そして、今、自分や自社に「何が起こっているのか?」が理解できるようになります。
 
そうなれば、あなたの会社の継続率は飛躍的に上がっているハズですし、「ああ、経営は思ったより簡単だな」と感じてもらえると思います。

6 まとめ 
〜「社長の仕事」の質が会社の成否を決めている〜


 
『社長の仕事』の質が会社の成否を決めている」という事実は、 何千人という社長と接してきて、 何千社という経営の盛衰を見てきて、 思い知らされたことです。
 
この事実は、多くの成功者が語ってきたことでもありますし、職位に関係なく、 会社に属する多くの人が理解できると思います。
また、日々、社会からの厳しいフィードバックを容赦なく受けている実践の経営者ならば、 なおさら、強く実感しているはずです。
 
 しかし、実は、そこに大きな落とし穴があります。
なぜかと言うと「社長の仕事が会社の成否を決めている」のは、 長期的には真実ですが、短期的には真実ではないからです。
 
経営は不思議なもので、短期的に見ると、社長の実力に関係なく成功していることが多いです。
経営の成功を支える要因が、たまたま揃っていたり、時流やブームに乗ったり、 一部の突出した能力が強くて全体の成功を支えていたりすると、成功します。 いや、成功してしまいます。
 
つまり「たいていの成功は、偶然である」ということです。 しかし、それにもかかわらず、多くの社長は「偶然の成功」で満足してしまいます。
成功の一部が偶然によってもたらされているとは夢にも思わず、 すべてを自らの力で成し遂げた成果なのだと信じてしまいます。
 
だから、社長としての実力を高めることをやめてしまいます。
そういった努力から逃げるようになり、人の話を聞かなくなり、独善的になります。 そして、失敗してしまいます。
 
環境は常に変わります。それによって自社を成功に導いていた要素も常に変化しています。 当然、偶然によってもたらされていた要素も変化します。 その時、実力のない経営者は、自社を成功に導いていた要素を再構築することができません
 
いや、そもそも「何が変化したのか?」「何が必要なのか?」が分かっていません。 偶然の成功に酔い、社長としての実力を高める努力をせず、 経営に必要な「要素と構造」が分かっていないのですから、当然のことです。
 
分かるのは、うまくいっていないという事実だけです。
 
多くの社長が「社長であり続けることができない」という、 厳しい現実の大きな原因の一つが、この点にあります。
 
「社長の仕事」は、会社を一時的な成功へ導くことではありません。
「社長の仕事」は、 会社を「永続させる」ために必要な「すべて」のことをすることです。 それは簡単ではありません。
「成功するのは簡単だが、成功し続けるのは難しい」のです。
 
プレジデントアカデミー(President Academy)は、その難しさと正面から向き合う、 覚悟のある社長のために創られた「社長の学校」です。
 
一時的な成功ではなく、継続的な成功を目指そうとする社長。
一時的な成功に酔うことなく、過信せず、実力を高めようとする社長。
そういった社長のために存在しています。
 
数千人の社長が目の前で見せてくれた現実、 成功と失敗から生まれた言葉は、 厳しかったです。
ですから、本レポートにも、厳しいと感じる表現があるかもしれません。
 
優しい言葉も大切だと思います。
しかし、優しい言葉だけが、人を支えられるとは思いません。
とても苦いかもしれないが、ぜひ受け取って頂き、 明日からの経営に生かしていって欲しいと思います。
 
また、「社長の仕事」は「知って終わり」ではありません
 
「知っているか知らないか」ではなく「出来ているか出来ていないか」を自らに問うのが「成功と継続」をもたらす社長の基準です。
 
そういった基準で「社長の仕事」に取り組んでいってもらえることを願っています。
 
忙しい社長業のことを考えて、「社長の仕事」を進めていく上で、考えるべきことや覚悟すべきことを、 なるべく短い時間で点検できるように、簡潔にまとめました。

「社長の仕事」の本質的なところを理解できていないだけで、多くの社長は失敗していますから、ざっと理解するだけでも「社長の仕事」の質を飛躍的に高めることができます。

その後は、さらに実践に落とし込んでもらえたらと思います。
 
自分を見つめること、自分に向き合うことは、厳しく辛いことでもあります。 しかし、それこそが「社長の仕事」の大切な第一歩です。
 
さあ、「社長の仕事」を始めましょう。


浜口隆則

著者/浜口 隆則
株式会社ビジネスバンクグループ 代表取締役社長

 
横浜国立大学教育学部卒、ニューヨーク州立大学経営学部卒。
会計事務所、経営コンサルティング会社を経て、大好きな起業家を支援する仕事をするために20代で「日本の開業率を10%に引き上げます!」をミッションにした株式会社ビジネスバンクグループを創業。現在は起業支援サービスを提供する複数の会社を所有するビジネスオーナーであり、アーリーステージの事業に投資する投資家でもある。「幸福追求型の経営 / 戦わない経営 / 小さな会社のブランド戦略」など、独自の経営理論にはファンが多い。
 

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