「勉強や運動、したいんだけどなかなか時間が取れない」
「何を始めても3日坊主に終わってしまい、習慣化しない」

多くの人が習慣化について悩み、挫折してきた経験があるかと思います。
「習慣を作ることは難しい。フリーな時間と労力が必要だ。」
そう考えている人も少なくないはずです。

しかし世の中には、常人には考えられない仕事量をこなしながら、読書などのインプットを習慣として絶えず行い続ける経営者たちがいます。

では、どうすればそのような習慣は作れるのでしょうか。
今回の記事では、習慣化を味方につけ、本当に価値のあることに時間を使えるようになるフレームワークをご紹介していきます。

機能的行動と非機能的行動

習慣化の話題で取り上げられる行動は大きく2つに分けることができます。

・機能的行動
・非機能的行動

順に解説します。

機能的行動とは「自分にとって役に立つ行動」のことです。
例えば、読書・早寝早起き・運動などの行動は、自分の脳や体にとって、とても役に立つますよね。こういった行動を総称して機能的行動と言います。

反対に、非機能的行動は以下のような行動を指します。
・自分にとって役に立たない行動
・本当は別にやらなくても良い行動
・やるべきではない行動

例えば、暴飲暴食やタバコ、寝る前のスマホ、目的なしのネットサーフィンです。仕事上の文脈でいくと、パワーポイントのデザイン部分に長い時間をかけて妙に凝ってしまう、などが挙げられます。こういった、本来的には不必要な行動を総称して非機能的行動と言います。

習慣化ができない方の多くは「非機能的行動(悪い習慣)の方が機能的行動(良い習慣)よりも多い」という状態になっているのではないでしょうか。この比率を徐々に変えていくことで、理想の習慣化を手に入れることができます。では、実際にどうすれば自分の行動を変容させることができるのでしょうか。そのためのフレームワークをご紹介します。

万能フレームワーク『コスト/ベネフィット診断』

今回紹介するフレームワークは『コスト/ベネフィット診断』です。
このフレームワークを使うことで、良い行動は習慣化し、悪癖は徐々になくなっていきます。それでは具体的な手順を解説していきます。

また、今回使用するフレームワークはこちらからダウンロード可能となっております。
習慣化マトリクス

①習慣化したい行動を選択する
②①を阻害する一番大きな行動を挙げる
③コストとベネフィットを診断する


①習慣化したい行動を選択する

まず、自分が習慣化したいと思っている行動を選択します。
読書・英語学習・ダイエット、自分が生活に取り入れたいものであれば何を選んでも大丈夫です。
 

②①を阻害する大きな行動を挙げる

次に、①で選んだ習慣化したい行動を阻害している一番大きな要因を挙げます。

例えば・・・
①ダイエットをして健康な体を維持したい
②しかし、いつも間食して長続きしない
という感じです。

ここでポイントになるのは、阻害要因を一つしか選ばないということです。
阻害要因は挙げるとキリがないくらいあると思いますが、その中でも「自分の中でこれが一番ネックだな」と思える重度の要因を選んでください。
 

③コストとベネフィットを診断する

最後に、②の阻害要因について下の項目を順に書き出していきます。

1:短期的なベネフィット(利益)
2:短期的なコスト(損失)
3:長期的なベネフィット(利益)
4:長期的なコスト(損失)


実際の記入例をお見せします。
先ほどの「ダイエットしたいが間食をしてしまう」を例にとり、このマトリクスを埋めていきたいと思います。

1:短期的なベネフィット(利益)
「ダイエット中に間食をする」ことによって得られる短期的なベネフィットはなんでしょうか。思いつくままに書いてみましょう。

・空腹が満たされる
・幸福感がある
・気が紛れる
・おいしい

少し考えただけでもたくさん出てきますね。なんだか間食を肯定したくなってしまいます。ですが、その気持ちは一旦グッと堪えて次のマトリクスに移ります。

2:短期的なコスト(損失)
次に短期的なコストはなんでしょうか。こちらも同様に書き出します。

・体重が減らない
・間食代が少しかかる
・罪悪感がわく

こういったコストが出てくるかと思います。ここで、先ほどの短期的なベネフィットと比べてみましょう。

どうでしょうか?
ベネフィットに対して、コストはそこまで大きくないような気がしませんか?

「この程度のコストしかないなら、別に間食いいや」
そんな声が聞こえてきそうですが、ちょっと待ってください。

まだこのフレームワークは半分残っています。
ここからは長期目線です。長期の視点で見ると、コスト/ベネフィットはどうなるのでしょうか?やっていきましょう。

3:長期的なベネフィット(利益)
「ダイエット中に間食をする」という生活を長らく続けた際のベネフィットはなんでしょうか。

・好きなおやつが見つかる…?

なんだかしっくりきませんよね。「これだ!」という強いベネフィットが見つからないということは、文字通り機能がない、非機能的な行動であるということではないでしょうか。

4:長期的なコスト(損失)
最後は間食による長期的なコストです。

・ずっと痩せない
・太るリスクも0ではない
・肌が荒れる可能性も
・累計間食代がバカにならない
・自己嫌悪感が残り続ける

少し考えただけでも大量に出てきます。他にも、モテない、といった対人関係のリスクを考えつく方もいたかと思います。このように、非機能的行動は長期的なコストが大きい傾向があります。

見ていただくと分かる通り、短期で比べるだけでは大した差は無いと感じていたコスト/ベネフィットも、長期的な目で見ると明らかにコストの方が多いことがわかります。

非機能的行動をついついやってしまっている時は、目の前のことに集中してしまうので、長期的な視点を忘れがちです。「間食がしたい!」と悪癖の衝動に駆られて負けそうになってしまった時には、一度紙に1~4の手順を書き出すことをおすすめします。それにより、冷静な目で判断して、徐々に生活の中から悪癖が消えていくかと思います。

さらに習慣化が促進する『If – Then プラン』 

コスト/ベネフィット診断によって、悪い習慣がどれだけの弊害をもたらすのかを把握したところで、次に具体的な習慣化の実行方法をご紹介します。それは『If – Then プラン』です。

「If(もし〇〇したら)Then(◇◇をする)」

「もし朝ベッドから起き上がったら、カーテンを開ける」
「もしお昼ご飯を食べて眠くなったら、10分だけ外を散歩する」

というように、起こる出来事に対して予め対策を用意しておくことがこの『If – Then プラン』です。前の行動がトリガーとなって、後ろの行動を行いやすくしてくれるので、習慣化のメソッドの中でも特に王道です。なので、今回のコスト/ベネフィット診断との合わせ技をするのであれば

「もし空腹に負けて間食しそうになったら、一度コスト/ベネフィット診断をする」
というIf – Then プランをしてみると良いかと思います。

また、すぐ取り出せる場所に紙とペンを置いておくことも非常に重要なので、予め準備しておくと、なお良い習慣化ができるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回はどんな行動が自分にとって良い利益を生むのか、弊害を生むのかを意識できるフレームワークとしてコスト/ベネフィット診断をご説明しました。

最後に、良い利益を生む一例として「経営戦略を考える」ことをおすすめさせていただきます。無料レポート内には、経営者が時間をかけて考えるべき経営戦略が多く紹介されていますので、そちらも合わせてご覧いただけますと幸いです。
https://bbank.jp/president-ac/freereport/strategy.html  


【ライター】
三富 大雅
早稲田大学スポーツ科学部
実践起業インターン【REAL】2期生
ばあごはん副代表

大学では、健康行動科学を専攻、特に「座り過ぎが身体へ及ぼす影響」について研究。早稲田大学×株式会社ビジネスバンクグループによる実践的な起業プログラム『実践起業インターンREAL』の二期生。シニア×学生のコミュニティ創生を目指す”ばあごはん”の副代表を務める。


【監修】
野田 拓志
株式会社 ビジネスバンクグループ
経営の12分野ガイド
早稲田大学非常勤講師

大学時代、開発経済・国際金融を専門とし、 その後「ビジネス×途上国支援」を行う力をつけるために一橋大学大学院商学研修科経営学修士コース(HMBA)へ進学。 大学院時代に、ライフネット生命の岩瀬氏や元LINEの森川氏に対して経営戦略の提言を行い、そのアイデアが実際に事業に採用される。 現在は、「社長の学校」プレジデントアカデミーの事業部長として、 各地域の経営者の支援やコンサルティングを行う。2017年4月からは早稲田大学で非常勤講師として「ビジネス・アイデア・デザイン(BID)」を行う。


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