後継者育成を行いたいけど、どうすればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。今回は後継者育成を行う方法やポイントを解説します。後継者育成をどう進めていいかわからない方はぜひご覧ください。

後継者育成を行うべき理由

後継者育成を行うべき理由

後継者育成を行っていないと、現在の経営者が引退したときに会社が倒産する可能性が非常に高まります。東京商工リサーチの調査によると、後継者不在による倒産は、2021年度で404件もありました。

特に中小企業では経営者が営業をしたり「この経営者だからついていく」という社員が一定数いる場合が多いため、経営者が引退することで、利益が下がったり、社員が離れてしまうなど業績の悪化が発生します。

またこれに加えて増加傾向にあるのは、経営者が高齢になっても適正に引き継ぐ後継者が不在であることに起因する倒産です。そのため、経営者が高齢により業務が難しくなる前に、後継者をどうするべきかしっかりと検討をしていくことが必要です。

また、経営者として適切かどうかは、仕事ができるかどうかだけではありません。そのため、後継者候補が経営者に向いているかどうかを事前に把握しながら、不足を補うための後継者育成は重要になってきます。

後継者育成を行う方法

後継者育成を行う方法

ここからは実際にどうすれば後継者育成ができるのかを解説します。後継者育成には主に社内での教育と社外での教育の2種類の方法があります。

社内での教育

社内での教育には、各部門や役職を経験させるステップと現在の経営者が直接指導する2つのステップがあります。それぞれ解説します。

各部門や役職を経験させるステップ

営業や財務、人事といった管理部門を中心に、自社のさまざまな部門で経験を積ませます。これを行う目的は、社内での業務を行うことで現場の感覚が身につくことです。

加えて、従業員と同じ目線で仕事と向き合い、コミュニケーションを取ることで、社内の支持も集めることができるでしょう。そのため、現在の経営者が引退しても会社から離れる従業員が少なくなります。

また、各部門ごとに係長や課長などの役職も経験させます。各役職で求められることや権限を実感することができ、その経験は経営者になったときに非常に役立つでしょう。

経営者が直接指導するステップ

各部門や役職が経験できたら、次は現在の経営者が直接指導を行いましょう。まずはじめに経営幹部として参画させます。後継者はこれまでは従業員視点で会社について考えていましたが、ここからは経営者として会社について考えていきます。

経営上の意思決定や対外的な交渉を任せることで責任感やリーダーシップが生まれてくるでしょう。

意思決定や交渉を最初から上手くできる人は少ないので、意思決定のポイントについて引き継ぎをしたり、対外的な交渉の場に連れて行くなどして、現在の経営者がどのように行っているのかを見せるのも効果的です。

社外での教育

社外での教育として効果的なのは、他社での経験を積ませることと、社外セミナーへの参加の2つです。

先ほど解説した社内での教育は必ず行うことですが、社外での教育は必ず行う必要はありません。ただし、社外での教育を行っておくことで、物事を見る視点が広くなったり、経験が経営に活かされたりするので、可能であればできるだけ行っておきましょう。

他社での経験を積ませる

他社での経験を積ませることで、自社の改善点が見えてきたり、人脈が広がったりします。また、自社にはないノウハウを手に入れることができたりと、非常にメリットがたくさんある方法です。

社外セミナーへの参加

社外セミナーに参加することで経営について根本的に学ぶことができたり、モチベーションアップにつながったり、人脈が広がったりと、こちらも社外での経験と同じようにメリットがさまざまあります。

経営セミナーについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、選び方やおすすめセミナーを知りたい方はぜひご覧ください。


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後継者育成を行うときのポイント

後継者育成を行うときのポイント

後継者育成を実践する前に知っておくべき2つのポイントを紹介します。

できるだけ早めに取り組む

経営者の交代はいつ起こるかわかりません。「まだまだ若いから大丈夫」と思っていても急な状況の変化で交代を余儀なくされることもあります。後継者育成を行っていないと、先ほど紹介したように、会社が倒産するかもしれません。

そのため、後継者育成はできるだけ早めに取り組むようにしましょう。極端なことをいうと、この記事を読み終わった後に、従業員のなかから後継者候補を探すなど、後継者育成の一歩目を踏み出すようにしましょう。

タフな仕事を任せる

経営者は事業の撤退や社員のリストラなど厳しい判断を求められたり、会社のすべての責任を負う必要があります。そのような不測の事態に必要になってくるのは強靭なメンタルです。

メンタルを鍛えるために、タフな仕事を任せるようにしましょう。ここでいうタフな仕事とは結果が求められるものです。結果が悪かったら会社が成長しないような、小さい会社や成長中のベンチャー企業に派遣するのも良いでしょう。

まとめ

まとめ

後継者育成を計画的にしっかりと実施すべき最も大きな理由は、会社を倒産させないためです。今まで苦労して築き上げてきた会社が倒産するのは悲しいです。またそれだけではなく、会社の倒産は働く社員や取引先、地域、業界にも影響を与えます。

不測の事態が起きて急に経営者を交代しても会社が倒産しないように、今回解説した方法を用いて後継者育成に早い段階から取り組みましょう。


【ライター】
佐藤みちたけ

大分出身のライター。起業のワークショップなどを通じて、学校教育に違和感を覚え、高校を中退。その後上京し、17歳の若さでライターとして生計を立てる。現在では、様々な企業や団体でインタビュー記事の執筆や、Webメディアの運営などを行なっている。


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