近年、ネットが普及してからSNSの使用は当たり前になり、
SNSでマーケティングしようと考えている方も多いと思います。

SNSがマーケティングに有効だと耳にして始めてみても
「全くフォロワーが伸びない」
「広告を出したのに反応が全然ない」
「SNSを始めてから数値に変動がない」
と嘆いている方も多いのではないでしょうか。

今回は、SNSマーケティングの事例から、どうすれば成功する確率が上がるのかを紹介します。SNSマーケティングを始めたけど、うまくいっていない方は参考にしてみて下さい。

また、SNS使い方などはこちらの記事で紹介しています。


目的を果たせなかったSNSマーケティングの事例


まずは、当初予想していた目的を達成できなかったSNSマーケティングの事例を2つご紹介します。2社とも大手だったのにも関わらずマーケティングの施策は狙い通りに行きませんでした。

良い評判を集めようとして狙い通りに行かなかったマクドナルド

2012年にアメリカのマクドナルドは「子どもが元気にハッピーセットを食べてて可愛い!」「恋人とマックを食べました!」などのほっこりするようなエピソードを集めようとTwitterで「#McDStories」をつけてツイートしてもらうキャンペーンを行いました。マクドナルドとしては、このハッシュタグを通して素敵なマクドナルドでのストーリー(エピソード)を投稿してもらおうとしました。

しかし残念ながら、キャンペーンを行ってお客さんから集まったストーリーは、異物混入や商品の安全性などに対するネガティブな投稿ばかり。キャンペーンに参加するユーザーの姿勢はコントロールできません。だからこそ、ポジティブなものが集まれば、それだけ信頼度が高く「自分も買ってみよう・使ってみよう」となるのですが、ネガティブなものが集まる可能性もあります。

多くのユーザーを対象にして、自社の商品について発信してもらうキャンペーンを行うときは、そのサービスに対してネガティブな反応が多くなる恐れはないか、予想しておくと良いでしょう。

キャンペーンに適切なユーザーが少ないため盛り上がらなかったKIRIN

2020年にKIRINはInstagramで「#私らしいエシカル」のハッシュタグをつけて投稿し、KIRINの公式Instagramをフォローしている方に抽選で10名にプレゼントを贈る企画をしました。

このキャンペーンが盛り上がらなかった大きな要因の一つは「エシカル」という難しい言葉を使用したことです。「エシカル」はまだあまり馴染みのない言葉かもしれません。エシカルは一言でいえば「人や環境に配慮した商品を購入・使用すること」を言います。

まだ馴染みのない言葉を日常で使っている人はおそらく限りなく少ないでしょう。エシカルという難しい言葉を使ったキャンペーンは参加ハードルが高く、KIRINの通常のキャンペーンと比べて投稿数が約30%減となりました。


SNSマーケティングで失敗しないために大切な3つのこと


次はSNSマーケティングで失敗したいために大切なことを3つ紹介します。SNSマーケティングを行う前の「戦略段階で考えること」、実際にマーケティングを行う際に考える「運用段階で考えること」、「炎上のリスクをできるだけ避けること」の3つです。

①SNSマーケティングを行う上で戦略段階で考えること

まずはじめに、戦略段階で考える4つのことを紹介します。どれもSNSマーケティングに限った話ではありませんが、4つのうちどれかを考えておらず、マーケティングが失敗することもあり得ます。マーケティングを始めようと思っている方は、ぜひこれを機会に考えてみて下さい。

目標・目的の設定

「最近よく聞くから」「SNSマーケティングで成功した事例をいくつも見たから」などの理由でSNSマーケティングを始めないようにしましょう。始めるときには「目標・目的」の設定を必ず行って下さい。

SNSマーケティングでよく設定される目標は、企業のイメージアップを図る「ブランディング」、利益を上げるための「売上増加」の2つです。自社がSNSマーケティングをして、何を実現させたいのかを一度よく考えてみてください。

ターゲットの設定

ターゲットの設定もSNSマーケティングでは重要です。特に多くのSNSでは広告を出稿するときに、広告を表示する年齢や地域など、細く設定ができるため広告を利用したSNSマーケティングを考えている方は細かくターゲットを設定する必要が特にあります。

広告のメリット・成功事例については、以下の記事で解説しています。

ターゲットに合わせたSNSの投稿をすることで、一層届くコンテンツになります。逆にターゲットを設定しないと、誰にも届かないようなコンテンツがうまれてしまい、コストの無駄になるかもしれません。どういう人に届けたいかを意識して、ターゲットを設定してみて下さい。

リソースの確保

業務の片手間でSNSマーケティングを行うのではなく、人員や時間の確保をした上で行って下さい。SNSマーケティングは時間がかからない印象があるかもしれませんが、広告や投稿するコンテンツの作成や検証、改善、管理など、行う業務は想像しているよりも多いです。

SNSマーケティングは1人でできる業務ではありますが、仕事の片手間でできることではありません。人員と時間を確保した上で行って下さい。

目的・ターゲットにあったSNSの使用

SNSマーケティングを行う際に大切なのは、目的やターゲットにあったSNSを使用することです。例えば、10代に届けたいと思っているのに、Facebookでマーケティングを行っては、ほとんど効果がないでしょう。Facebookを利用しているユーザーは、40代が圧倒的に多く、10代が極端に少ないからです。

それぞれのSNSの特徴を理解して、目的やターゲットに合ったSNSを利用して下さい。各SNSの特徴については、こちらの記事で詳しく解説しています。
https://bbank.jp/president-ac/blog/snsmarketing-2/


②SNSマーケティングを行う上で運用段階で考えること

失敗しないために戦略段階で「目標・目的の設定」「ターゲットの設定」「リソースの確保」「目的やターゲットに合ったSNSの運用」を決めたら、次に考えるのは運用段階のことです。

ここからは、SNSマーケティングで失敗しないために運用段階で必要なことを3つご紹介します。SNSを運用する際は、これらのことに気をつけて運用しましょう。

ターゲットが簡単に理解できるキャンペーンを行う

ターゲットに参加してもらうようなキャンペーンを行う場合、できるだけ「簡単に取り組める」ものが良いです。

例えば、何かの商品についてレビューを投稿してもらいたいときに「1,000字~2,000字で〇〇と△△というキーワードを使ってください」だとよほどの商品かお礼がない限り投稿してもらえません。しかし「商品を買って使ってみた感想を投稿してください」だと誰でも気軽に投稿することができます。

多くのユーザーに参加してもらうようにすると、商品に対してネガティブな反応が出てくるかもしれません。それは消費者の意見として受け止め、商品の改善などを行うときの参考にするのが良いです。

SNSの強みのひとつに「拡散性」があるので、レビューを投稿してもらうときは、それ専用のハッシュタグなどを設定するのも良いでしょう。

適切な投稿頻度で投稿する

SNSには適切な投稿頻度があります。海外企業のSNSマーケティングを支援するDowSocialによると、1日あたりの適切な投稿頻度はTwitterが6回、Facebookが2回、Instagramが3回となっています。

投稿の頻度は高ければいいというわけではありません。あまりにも投稿が多いと、それだけ1投稿あたりのエンゲージメントが落ちる可能性が高いですし、最悪の場合はスパムアカウントとして判断され凍結されるかもしれません。使用するSNSに合った投稿頻度で投稿しましょう。

PDCAサイクルを回す

これはSNSマーケティングに限った話ではありませんが、PDCAサイクルを回すことは大切です。SNSマーケティングで設定するブランディングなどは数字の指標が取りづらいため、予めどの数値で何を計測するのかを決めておき、その数値をもとにPDCAサイクルを回すようにしましょう。


③炎上しないようにする

SNSは拡散性が高いため、不適切な発言があるとまたたく間に拡散され炎上する可能性があります。しかし、以下の2つのことに気をつけていれば炎上する可能性は低くなります。

  • 事実の裏付けがないものは発信しない
  • センシティブな話題にはできるだけ関わらない

どちらにも共通することですが、企業の公式アカウントはその企業の「顔」とも言えます。そのため、事実ではないものを発信していると「あの企業は信頼できない」となったり、センシティブな話題に関わっていると「あの企業の価値観ずれてる…」などと炎上までは行かなくても、イメージダウンに繋がる可能性があります。

そのため、上記の2つのことに気をつけつつ、投稿するものが炎上するかどうか心配な場合は、ダブルチェックなどを行うのが良いでしょう。


まとめ

SNSマーケティングで失敗しないためには、目的やターゲットの設定やリソースを確保すること、使用するSNSを決めること、PDCAサイクルを回すことが特に重要となってきます。

この記事を参考にして、失敗しないようにSNSマーケティングを行ってみてください。


【ライター】
佐藤みちたけ

大分出身のライター。起業のワークショップなどを通じて、学校教育に違和感を覚え、高校を中退。その後上京し、17歳の若さでライターとして生計を立てる。現在では、様々な企業や団体でインタビュー記事の執筆や、Webメディアの運営などを行なっている。


【監修】
野田 拓志
株式会社 ビジネスバンクグループ
経営の12分野ガイド
早稲田大学非常勤講師

大学時代、開発経済・国際金融を専門とし、 その後「ビジネス×途上国支援」を行う力をつけるために一橋大学大学院商学研修科経営学修士コース(HMBA)へ進学。 大学院時代に、ライフネット生命の岩瀬氏や元LINEの森川氏に対して経営戦略の提言を行い、そのアイデアが実際に事業に採用される。 現在は、「社長の学校」プレジデントアカデミーの事業部長として、 各地域の経営者の支援やコンサルティングを行う。2017年4月からは早稲田大学で非常勤講師として「ビジネス・アイデア・デザイン(BID)」を行う。


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