「最近よくフォロワーシップという言葉を聞くけど、ビジネスや会社経営にどう関係するのかハッキリわかっていない」

そんな方に向けて今回はフォロワーシップについて、またその重要性についてご紹介します。加えてフォロワーシップ実践の具体的な行動例、実践ポイントなどを紹介します。ぜひ最後までご覧ください。

フォロワーシップとは

フォロワーシップとは

フォロワーシップとは、成果を出すために主体的にリーダーや他のメンバーを助ける(支援する)ことです。そのため、フォロワーシップは特定の人物ではなく、メンバー全員に求められるもの。

では、具体的な行動は何を指すのでしょうか?次で詳しく説明します。

フォロワーシップとリーダーシップの違い

フォロワーシップ以前から使われていた言葉として、リーダーシップがあります。両者の違いは明らかで、リーダーシップは組織及びチーム内のトップの人に求められるものであり、フォロワーシップはメンバー全員に求められるものです。

フォロワーシップとリーダーシップの関係性

フォロワーシップとリーダーシップは両輪の関係で組織を動かします。

リーダーシップは方針を示したり、意思決定をすることの一方で、フォロワーシップはその方針を実行したり、背景にある理由を説明したりします。リーダーが決めた意思決定に対して健全な批判をすることもフォロワーシップに求められていることです。

フォロワーシップの5つのタイプ

フォロワーシップには以下の5つのタイプがあります。自分やチームのメンバーはどのフォロワータイプかを見極めてどのように模範的フォロワーになっていくかが大切です。

・模範的フォロワー:リーダーに対して、建設的な批判をすることができ、周囲とも協調しながら組織に貢献できる理想的なフォロワー

・孤立型フォロワー:建設的な批判はするが、自分では実行しないため組織への貢献度が低いフォロワー。発言に責任を持たせるためにも孤立型フォロワーが発言したことは本人に実行させると模範的フォロワーに近づく。

・順応型フォロワー:リーダーの決定や指示に従順に従うフォロワー。リーダーへの建設的な批判がないため、批判的な視点を持つようにアドバイスをすると模範的フォロワーに近づく。

・消極的フォロワー:批判も行動も何もしないフォロワー。組織にはいるものの存在価値を発揮できておらず、本質的にはフォロワーとは呼べない。批判も行動もしないのは仕事が自分ごと化できていないから。自分ごと化できるようにマネジメントなどを行うことが大切です。

・実務型フォロワー:言われたことのみを行うフォロワー。それ以外については積極的には関与しない。自分の業務だけではなく、チームや組織がどうすれば良くなるのかという視点を持つようになると模範的フォロワーに近づく。

これからの組織づくりでフォロワーシップが重要な理由

これからの組織づくりでフォロワーシップが重要な理由

フォロワーシップが組織づくりで重視されてきた理由は、不確実性が増す現代のビジネス環境において、リーダーひとりでは全てを判断・指示できなくなったからです。

例えば、マーケット・トレンドというテーマにおいて、一昔前は情報はテレビや新聞といった大多数が見るもののみに絞られていたため、マジョリティの趣味嗜好などが分かりやすく、継続固定していたので経験値を活かした判断がしやすい時代でした。

しかし、SNSが普及し、趣味嗜好がばらばらでトレンド変化が早くなった現代では、リーダーひとりでの方針判断に苦慮することが多くなってきました。

そこで、ほかのメンバーも積極的にリーダーに意見を言う(健全な批評をする)ことが大切になってきたのです。

フォロワーシップの具体的な行動例

フォロワーシップの具体的な行動例

ここからは、どうすることでフォロワーシップを発揮できるのか、具体的な行動例を紹介します。

自分の担当以外の仕事も積極的に引き受ける

目の前にチームや組織で取り組まなければいけない課題があるときに、フォロワーである自分自身が解決するにはどのように動けばいいかを考え、実行します。

このときに一人で全部を受けるのではなく、例えば消極的フォロワーに依頼をして貢献してると感じてもらったり、孤立型フォロワーに実行してもらうなど、周囲の人を巻き込むことで相乗効果がうまれ、組織の活性化につながるかもしれません。

日常的にリーダーに意見を伝える

リーダーの考えや意思決定に疑問を感じたときは、積極的に意見を伝えるようにしましょう。フォロワーが意見を伝えることでリーダーの視点では抜け落ちていたものがわかるかもしれませんし、リーダーの案がブラッシュアップされ、より良いものになっていくかもしれません。

また、フォロワーがリーダーに意見や建設的な批判をすることで、リーダー側も常に一定の緊張感を持つことができ、組織がより良い方向に進むかもしれません。

リーダーの指示の理由や背景をチームに伝える

リーダーが指示した理由や背景がわかっていないと不満がでるかもしれません。そのときはリーダーの指示の理由や背景をフォロワーである自分が伝えましょう。不満がある中で本人から発言されてもついつい批判的な意見を持ってしまいがちですが、第三者が説明することで、そのようなデメリットも少なくなります。

チームや会社の未来を考える

自分やチームといった近い関係だけではなく、チームや会社全体の未来を考えながら行動するようにしましょう。そうする事でこれまで持っていなかった新たな視点が手に入り、自分のスキルアップにつながるかもしれません。

フォロワーシップを行うときのポイント

フォロワーシップを行うときのポイント

ここからは、フォロワーシップを行う時のポイントについて紹介します。

自分やメンバーのフォロワータイプを知る

まずはじめに、自分やメンバーのフォロワータイプがどれなのかを知りましょう。一番良い状態は模範的フォロワーが集まっているチームです。そのチームを目指すようにどのように行動したらいいかを考えて実行することが大切です。

自分が変わる場合は変化することに一定のモチベーションがあるのですが、メンバーが変化する場合はモチベーションがあるかないかを確認するところから始めなければいけません。もし、本人に変化するモチベーションがなければ、話し合ったり、担当業務の変更や部署異動などを行い、そのメンバーが仕事を自分ごと化できるようなマネジメントを行うのが良いでしょう。

リーダーにも限界があると意識する

リーダーと聞くと、ありとあらゆる場面で正解ができ、チームを引っ張っていく存在と思うかもしれません。しかし、変化が激しく、価値観が多様化した現代においてさ、ひとりであらゆる場面の正解を導くのは非常に困難です。

リーダーも完璧ではないという心構えで接することが大切です。

チームメンバーには最初から完璧を求めすぎない

リーダーだけではなく、チームメンバーにも最初から完璧を求めないようにしましょう。もちろん、模範的フォロワーを増やすように動いたりすることも大切ですが、最初から完璧を求めてしまうと萎縮などをしてしまい、逆効果になってしまいます。

段階を踏んで模範的フォロワーになれるような計画を作ることが大切です。

健全に批判できる能力を身につける

健全に批判できるとは、批判するだけでなく、検討も入れるということ。そうすることで主観や感情に流されることなく、健全に批判ができます。

「リーダーの判断は本当に正しかったのか」「課題の本質は何か」など、あえて批判的な目を持ってリーダーの意見を聞いたり、課題に向き合ったりしましょう。

まとめ

これからの時代、リーダーひとりでは全てを補えきれなくなってきます。そんな時に大切なのがフォロワーがどう行動するかです。今回紹介した「フォロワーシップ」のポイントや行動例をもとにして、ぜひ会社の組織づくりにおいて実践してみてください。


【ライター】
佐藤みちたけ

大分出身のライター。起業のワークショップなどを通じて、学校教育に違和感を覚え、高校を中退。その後上京し、17歳の若さでライターとして生計を立てる。現在では、様々な企業や団体でインタビュー記事の執筆や、Webメディアの運営などを行なっている。


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