従業員エンゲージメントとは、社員が企業に対して積極的に関わり、自発的な行動を起こす状態のことです。それだけではなく、日本企業の実情や改善方法まで詳しく紹介します。ぜひご覧ください。

従業員エンゲージメントとは?

従業員エンゲージメントとは?

従業員エンゲージメントとは、社員が企業に対して積極的に関わり、自発的な行動を起こす状態のことです。つまり、単に仕事をするだけでなく、会社やチームの目標達成に貢献しようという意識がある状態を指します。

このエンゲージメントは、いくつかの要素から成り立っています。第一に、「誇り」と「納得感」があります。これらは組織文化やビジョン・ミッションを共有し、自分たちの働き方や取り組みが会社全体の成功につながっていると感じることです。

また、「コミュニケーション」と「フィードバック」も重要です。上司や同僚からフィードバックを受け取った際の改善点への取り組み姿勢や考え方次第で、エンゲージメント度合いも変わってくるでしょう。

最後に、「キャリアプランニング」と「スキルアップ」も大切なことです。「将来性があるのか」「挑戦ができるのか」「新たな学びがあるのか」などがなければ、長く安定した人生設計やキャリア形成が目指せないからです。

従業員エンゲージメントを構成する要素

従業員エンゲージメントを構成する要素には、先程説明したものだけではなく、それ以外のものからも成り立っています。要素にはさまざまありますが、大きく分けて以下の3つがあります。

・目標設定:明確な目標設定や仕事内容の説明によって、従業員は自分たちの役割や貢献度が理解しやすくなります
・報酬制度:公平かつ透明性のある報酬システムは、従業員満足度だけでなくエンゲージメント向上にも効果的です。
・トレーニングプログラム:キャリアアップや技術向上の機会を提供することで従業員は自己成長意欲を高められます

従業員エンゲージメントと従業員満足度の違い

従業員エンゲージメントと従業員満足度には、関連性があるものの、違いがあります。従業員満足度は、単に職場環境や給与面から見た従業員の幸福感を指し示す一方で、従業員エンゲージメントは、より深いレベルでの参加や投資を意味しています。

例えば、社内コミュニケーションが向上することで、従業員満足度も向上するかもしれません。

しかし同時に、社内コミュニケーションが活発化した結果として生まれるアイデアや提案への取り組みなどから見た場合、「働き方改革」や「自己実現」といった概念によって定義されるような好条件だけでは物足りず、「会社と共有する目的感」を意識して仕事に臨めているかどうかという視点が必要です。

そのため「退屈しない」「成長できる」「誇りを持てる仕事」など個人的価値観に沿った刺激的な仕事環境を提供することが従業員エンゲージメントでは大切なのです。

従業員エンゲージメントとモチベーションの違い

従業員エンゲージメントとモチベーションの違いについて考えることは重要です。これら2つの概念は密接に関連していますが、異なる意味を持ちます。

まず、従業員エンゲージメントは従業員が会社や組織に対して共感し、関与する程度を表します。一方で、モチベーションは個人が自分自身に対して持っている動機づけや興味、欲求を指します。

具体的に言うと、従業員エンゲージメントは組織全体の目標や価値観に共感し、その実現のために主体的な行動を取ろうとする姿勢です。それに対し、モチベーションは個人レベルで自己実現や成功へ向かって努力するための内在的な力です。

日本企業の従業員エンゲージメント

日本企業の従業員エンゲージメント

日本企業の従業員エンゲージメントは、海外企業に比べて低いです。具体的には、米調査会社ギャラップが2017年に調査した結果によると、日本の従業員エンゲージメントは6%でした。これは調査対象の139ヶ国のうち132位という結果です。

また、同会社が2022年に調査したものでも、日本の従業員エンゲージメントは5%とむしろ低下しており、この結果は調査対象の129ヶ国のうち128位でした。

このように日本の従業員エンゲージメントは海外企業に比べるとかなり低いです。なぜこんなにも低いのでしょうか?

日本企業の従業員エンゲージメントが低い理由

日本企業の従業員エンゲージメントが低い理由には、様々な要因が挙げられます。まず、長時間労働や過剰な仕事量といった問題があります。これらの問題は従業員のストレスを増大させることで、モチベーションを下げてしまいます。

また、上司と部下の関係性も影響しています。多くの日本企業では、上司から指示されたことに対して文句を言わずに黙って従う風潮があります。このような状況では、意見やアイデアを出すことができなくなります。

さらに、昇進や報酬体系が明確でない場合も従業員エンゲージメントを低下させる原因です。自分の頑張り次第でキャリアアップする可能性があるかどうかや報酬水準について不透明だと不安感を持ち続けたりします。

このような理由で日本の従業員エンゲージメントが低いのではと考えられます。

従業員エンゲージメントが重要な理由

従業員エンゲージメントが重要な理由

従業員エンゲージメントが重要な理由は多岐にわたります。まず、従業員が仕事に取り組む意欲を高めることができます。仕事に対する情熱や責任感を持つことで、生産性の向上や成果物の質の向上に直結します。

また、従業員エンゲージメントは企業文化を整備する上でも非常に大切です。良好な人間関係やコミュニケーションは、職場環境の改善だけではなく、チームワークと協調性を醸成し、社内外から注目される素晴らしい企業イメージ構築へ繋がります。

さらに、競争力のある市場で勝ち残っていくためにも、従業員エンゲージメントは必須条件です。競争相手よりも、「働きやすさ」や「働き甲斐」等々、働く側から見て魅力的な企業であることが求められます。

これら全ての理由から明白ですが、「従業員エンゲージメント」 を高めることは現代の企業にとって不可欠です。

従業員エンゲージメントを高めるメリット

従業員エンゲージメントを高めるメリット

従業員エンゲージメントを高めることは、企業に多くのメリットをもたらします。まず第一に、従業員がより生産的になります。エンゲージメントが高い従業員は自分の仕事に愛着を持ち、貢献意欲が高まります。彼らは常に最良のパフォーマンスを出そうと頑張ってくれるでしょう。

次に、エンゲージメントが高い従業員は会社の目標やビジョンに共感するようになります。この結果、チームワークが向上し、プロジェクト達成率も上昇します。さらに、顧客満足度も向上する可能性があります。

また、「働き方改革」が叫ばれている現代では、従業員エンゲージメントを高めることで退職率低下や離職防止効果も期待できます。企業側からしてみれば人材確保・育成コスト削減効果も期待できるかもしれません。

これらすべてのメリットからわかるように、「従業員エンゲージメント」は単なる流行語ではなく、企業の成長に欠かせないものです。

従業員エンゲージメントを高める方法

従業員エンゲージメントを高める方法

従業員エンゲージメントを高めるためには、まずは従業員の意見や要望に耳を傾けることが大切です。

定期的なアンケート調査やフィードバックシステムを導入し、従業員からの声に真摯に向き合うことで、彼らが会社の一員として認められていることを感じさせることができます。

また、仕事量やストレスが原因で疲弊している従業員に対しては、ワークライフバランスを重視した施策を行うことも有効です。例えば、リモートワークやフレックス制度の導入などが挙げられます。

さらに、従業員同士のコミュニケーション促進も重要なポイントです。チームビルディングイベントや社内SNSなどを活用し、社内コミュニティ感を醸成する取り組みが必要です。

そして最後には報酬体系の見直しも必要です。適正評価制度やキャリアアップ支援制度等、「働く人」へ還元されるメリットを示しましょう。

まとめ

従業員エンゲージメントについて解説してきました。日本企業では従業員エンゲージメントが平均して高くないからこそ、エンゲージメントをはかる数値を高くすることができれば、人材採用・育成・定着で他社との差別化ポイントにも繋がります。

従業員エンゲージメントは現代では重要な指標です。今回紹介した内容をもとに、一度自社の従業員エンゲージメントはどの程度なのか確認し、より良い方向に改善していきましょう。


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