見込客フォロー 自動化

皆さんは次の二つの会社の内、どちらの会社を利用したいと思うでしょうか?
1つ目は、全く素性を知らない人の会社、もう1つはよく知っている人の会社。
ほとんどの人が、後者を選ぶでしょう。

マーケティングでは、自社のことを全く知らない人に関心を持ってもらうことが、第一歩となります。
これは、潜在顧客から見込客へと変化させる、見込客の獲得と呼ばれます。
そして、見込客を獲得したら、次は、興味を持ってもらったお客さんに対して、興味を持ち続けてもらうことが購入へと続く重要なステップとなります。そこで、効果的な戦略が見込客フォローというものです。

今回は、そんな経営に取って不可欠な見込客フォロー中心に再分析をして、ご紹介します!!


見込客とは

見込客とは、自社の製品やサービスを利用したことがないものの、興味や関心はある程度持っており、いずれは購入・利用する可能性がある顧客のことです。
「リード」と呼ばれることもあります。
たとえば、次のような行動をしていれば、見込客と呼ぶことができるでしょう。

  • ブログ購読をしている
  • 無料版や体験サービスを利用している
  • 資料請求やコンテンツのダウンロードをした

よく見込客は潜在顧客と混同されがちです。潜在顧客とはどこが異なるのでしょうか。
潜在顧客は、そもそも自社や自社の製品・サービスを知らない、もしくは興味や関心がない顧客のことを指します。
まず、この潜在顧客に自社を認知してもらい、関心を寄せてもらうことで、見込客へと潜在顧客を変化させることがマーケティングの第一歩です。

見込客の獲得方法

自社のことを知らないお客さんに知ってもらうには、集客を行うことが唯一の解決策となります。すなわち、潜在顧客から、見込客へと変化してもらうには、様々な方法で自社の魅力を伝えていく必要があるのです。
ここでは、代表的な手法をいくつか紹介することにします。

  1. SNSマーケティング
    ※SNSマーケティングに関してはこちらをご参照ください
    事例から学ぶ!SNSマーケティングで失敗しないために大切なこと
  2. コンテンツSEO
    ※コンテンツSEOに関してはこちらをご参照ください
    忙しい社長必見!5分で分かる”ネット広告”とは?
  3. 展示会やショップ
    ※展示会やショップに関してはこちらをご参照ください
    【社長の基礎力養成講座】経営者必見!集客につながる看板とは?
  4. ポスティング
    ※ポスティングに関してはこちらをご参照ください
    【社長の基礎力養成講座】効果的なダイレクトメール(DM)の3つの特徴と事例を紹介!

上記の4つが主な、集客方法となります。

コンテンツSEOでは、Googleなどの検索サイトで、より上位に検索結果が出るような記事や、コンテンツを配信し、そこから興味を持ってもらう方法です。
展示会は、より人と人が密接に会うことができる集客の方法です。ある分野に興味のある人をあつめ、そこに関連する企業が集積することで、一度に多くの見込客を買う特できるチャンスがあることがメリットです。


見込客フォローとは

見込客フォローとは、興味はあるが購入には至っていないすべての見込客に購入に近づいてもらう活動です。

会社や商品のことをお客さんに知ってもらう。さらには、興味を引くための活動を継続的に行うことで、お客さんとの関係性が深くなり、成約へとつながるのです。
ここでは、見込客フォローに関して、お客さんとサービスと関係性を表す6つの段階」とその6つ段階に対応する営業の行動指針である5つの対応」を通してご紹介します。

【見込客フォロー】お客さんとサービスの間にある6つの段階

6つの段階 見込客

お客さんとサービスの関係性には、6つの段階があります。

  1. 知らない
  2. 認知
  3. 興味
  4. 検討中
  5. 成約
  6. ファン

まずは、商品、サービスを知らない状態。

次が知ってもらった状態、さらに興味を持ってもらった状態が続き、顧客は検討に入ります。
成約後も購入してもらった人にファンになってもらう。

ここまでが、お客さんとサービス、商品との関係性の6段階です。

会社でのセールスは、この6段階の関係性を徐々に高めていくことにほかなりません。

見込客フォローは、この6段階の内、認知から成約までを結ぶ活動となります。

【見込客フォロー】お客さんへの5つの対応

5つの対応 見込客

6つの段階に対応して、それぞれの段階をステップアップするときに有効な対応があります。

それが5つの対応です。

  1. 知らない人に知ってもらう活動
  2. 知った人により興味を持ってもらう活動
  3. 興味を持った人に問い合わせをもらう活動
  4. 問い合わせをもらった人に購入してもらう活動
  5. 購入してもらったお客さんに継続的にお付き合いしてもらう活動

この中で、見込客フォローは
2つ目、3つ目、4つ目の活動
のことをさします。

ここで、重要なことは人間はすぐに忘れるということです。人は、あることを知ってから20分後には42%を忘れ、一日後には74%も忘れてしまいます。

そのため、知ってもらったあと、そのことを覚えていてもらう活動が非常に大事になってきます。
知って、その場ですぐ購入する顧客の割合は20%だけです。

つまり、残りの80%は知っているだけとなります。さらに、ほとんどの会社はこの80%に一切アプローチできていないのが現状です。
また、
放置してしまった80%は2年以内に競合企業から商品を買う
というデータもあります。

見込客フォローを行うことで、80%の商品を知ってくれたお客さん、つまり見込客に商品や会社を覚えてもらうことができ、その後の成約へと結びついて行くのです。

社長必見!12の見込客フォロー

12の見込客フォロー

会社や商品のことをお客さんに知ってもらうには、一度だけでなく、何度もアプローチすることが必要です。
継続的に行うことで、お客さんからの信頼度が高くなり、成約へとつながります。

継続的なアプローチを行うためには、見込客フォローを仕組み化することが重要です。
見込客フォローの仕組み化を行うポイントは、会社とお客さんを結ぶパイプラインを複数持つことが必須です。

そのパイプラインは、全部で以下の12個があります。

【12の見込客フォロー】

  1. サンキューメール
  2. ニュースレター
  3. メルマガ
  4. シーズンレター
  5. ブログ
  6. 小冊子
  7. プレゼント企画
  8. SNS
  9. イベント
  10. ハロー電話
  11. 現状報告メール
  12. ランチ会

今回はそのなかでも特に次の2つをピックアップして、お伝えします。

  1. 見込客フォローのためのサンキューメール・レター
  2. 見込客フォローのためのニュースレター

今すぐできる見込客フォロー!即効性抜群のサンキューメール・レター

サンキューメール 見込客フォロー

見込客フォローの仕組み化なんて急に言われても…と困った方におすすめのパイプラインは、見込客フォローのためのサンキューメール・レターです。

サンキューメール・レターの一番よいところは、効果が高いにもかかわらず、簡単に導入ができることです。

そんなサンキューメール・レターの導入の手軽さを生かして実施するためのポイントは3点あります。

1つは、ひな形を用意することです。
ひな形に基づいて作成することで、間違いのないサンキューメール・レターをだれでも作ることができます。
さらには、会社のスタッフが一言添えるだけで完成することができるので、取り組みやすくなるのです。

2つ目は、すぐに出せる点です。
決まった場所に便箋やひな形を用意しておくことで、会社のスタッフは思い付いたときにすぐ作成することができます。

3つ目は、記憶に残るようにすることです。
印象に残るデザインを取り入れることで、記憶に残りやすいサンキューメール・レターを作成することがだれにでもできるようになります。

このように、少しの工夫を施すことで、会社のスタッフが誰でもすぐに実行できる利点がサンキューメール・レターにはあります。手軽でありかつ、その効果が大きいサンキューメール・レターは見込客フォローの仕組み化の第一歩として非常におすすめです!

重要なのは売り込まないこと!?見込客フォローのためのニュースレター

ニュースレター 見込客フォロー

ニュースレターをまたとないお客さんへのアピールの場と捉え、自社や自社製品をこれでもかと売り込んでしまう場合があります。しかしながら、このニュースレターでは、見込客フォローはできません。

見込客フォローのためのニュースレターで重要なことは2つ。

1つは、
売り込まないこと

2つ目は
役立つ情報を送ることです。

お客さんは、ニュースレターで商品を売り込んでほしいのではなく、自分にとって役に立つ情報が得られることを期待しています。そのため、見込客フォローのためのニュースレターでは、売り込まずに読む人にとって役に立つ情報を盛り込むことが必要になります。

では、役に立つ情報とはどのような内容をいれればよいのでしょうか。

4つの切り口からその内容を紹介します。

1つ目の切り口は、「自社」です。
この内容では、社長・スタッフのコラムやスタッフのインタビューが効果的です。
これら情報で、会社の様子や人柄を感じ取ることができ、会社への親近感を高めることが可能となります。

2つ目の切り口は、「商品」です。
ここでは、商品・サービスの使い方や商品サービスの開発秘話を盛り込みましょう。
商品・サービスの使い方では、単に使い方がわかって役に立つだけでなく、読み手が使い形をイメージし、購入意欲が上昇することが見込めます。
開発秘話では、商品に対する意気込みや思い入れを感じることができ、商品への親近感、信頼度を増すことができます。
このような開発秘話等の話題を盛り込むことで、人が見える情報となり、より会社に親しみを持ちやすくなります。

3つ目の切り口は、「顧客」です。
ここでは、お客様の成功事例・失敗事例、お客様の声、よくある質問Q&Aに触れることが必要です。この3つのことに触れることで、読み手は紹介されているお客さんに自身の姿を重ねることができ、それを自分の生活に役立てることができます。

4つ目の切り口は、「業界」です。
ここでは、業界の基礎知識や豆知識・新常識、購入前に知っておきたいことといった内容を書きましょう。
このことで、業界自体に興味を持ってもらうことが可能になるだけでなく、購入時に役に立つ情報を読み手は取得することができ、読み手の満足度を上昇させることができます。

ニュースレターといっても、必ずしもユニークなデザインや個性の際立った手の込んだ作品を作る必要はありません。重要なことは、お客さんとの定期的な接点を持つことです。
そのため、手軽なものでも大丈夫です。四つの切り口から、売り込まないこと、役立つ情報を届けることに注意することで、簡単なニュースレターでも、自社への信頼度を高められる武器となるのです。


見込客フォローの仕組み化で作るお客さんとの適切な距離感

距離感 見込客フォロー

見込客フォローとは、興味はあるが購入には至っていないすべての潜在顧客に購入に近づいてもらう活動です。
継続的なお客さんへのアプローチが可能になるのが、見込客フォローの仕組み化です。

ここで重要になってくるのが、お客さんとの「距離感」です。

誰しも、プライベートな空間に土足で上がりこまれるような営業をされるといやな気持ちになると思います。見込客フォローでは、このお客さんとの距離感を適切にとりながら、継続的に営業をすることが必要です。

そのためには、12個の見込客フォローの特性を理解した上で、使い分けることが重要となります。

サンキューメールなどの距離が遠めのアプローチから、徐々に、ランチ会や、ハロー電話などの距離の近いアプローチに移っていくことを仕組み化するのがポイントです。

お客さんとの適切な距離感を保つ秘訣【SLine、JLine】

12個の見込客フォローをそれぞれ仕組み化するのが第1ステップです。

次に、お客さんとの適切な距離を保ちつつ、アプローチするために、12個の見込客フォローの使い時をうまく管理することが第2ステップです。

この第2ステップでは、ポートフォリオによって、二つの軸を基準にお客さんへの適切なアプローチを仕組み化します。

一つめの軸は距離の近い遠い、
二つ目の軸は頻度の多さです。

歯のホワイトニングを行う歯医者では、次のようなポートフォリオの使い方を取り入れています。

見込客フォロー Sライン

まず、お試しホワイトニングで集客を行い、サンキューレターでフォローをします。

次に、距離は保ったまま、接触の頻度を高めるため、歯の白さと印象の関係のレポート、白いうちにケアするべき理由、歯の白さチェック方法を送り、売り込まずに、じわじわとお客さんとの距離をつめていきます。

そして、歯の白さチェックを送る段階で、来店予約の書類を同封します。

このように、お客さんとの距離感をじわじわと縮め、着実に来店へと促すことができています。ここの歯科医院さんでは、はじめ、お試しホワイトニングのみを
行っていました。

そこから、お客さんとの適切な距離感を保ちながら、見込客フォローをしたことで、導入後6ヶ月で7倍の売り上げを達成することができました。

見込客 Sライン

今回、導入事例に挙げた歯科医院さんのようなポートフォリオの使い方を、SLineと呼んでいます。

SLineでは、距離感が遠く、頻度も低い状態から、頻度のみを多くし、お客さんとの距離感をじわじわとつめていきます。
その後、イベントやランチ会などを通して、距離感を近くすることで成約へとつなげることができます。

このS字カーブは住宅販売の営業から、システム販売まで多く業界で利用が可能な仕組みになっています。

一方で、葬儀や水回りの補修工事など、普段は需要がないが、突然需要が生まれるような事業に対しては、JLineを用いて、セールスの自動化を実現できます。

見込客 Jライン

ここでは、縦軸がビジネス色の強弱、横軸に左側を頻度が多い、右側を頻度を少なめに設定しています。

JLineでは、会社紹介の小冊子などのビジネス色の強めのものから、徐々にビジネス色を弱め、一方で頻度を多くすることで、常にお客さんのそばにいることを実現します。

このことにより、突然の需要が発生した際に、利用してもらえることが多くすることができます。

以上のように、ポートフォリオを用いて、SLine、JLineを活用することでお客さんとの適切な距離感を意識しつつ、確実な成約を伸ばすことができます。ポートフォリオを活用し、12の見込客フォローの使い時を管理することが、セールスを自動化するための秘訣なのです。


今回は見込客フォローを中心に営業の仕組み化までを解説しました。潜在顧客から見込客へと変化させ、見込客フォローを行うことで、購入へとつながっていきます。この一連の行動を仕組化することで、事業はより発展していきます。

積極的に見込客フォローを行っていきましょう!


【ライター】
田中 大貴
株式会社 Urth 最高執行責任者

大学では、建築学を専門としながら、2018年4月からは早稲田大学で「ビジネス・アイデア・デザイン(BID)」を受講。 その後、文科省edgeNextプログラムの一つである、早稲田大学GapFundProjectにおいて2019年度の最高評価および支援を受け、起業。 早稲田大学建築学科では、株式会社エコロジー計画とともに、コンサートホール、宿泊所の設計、建設に取り組んだ。現在は、「〇×建築」をテーマにwebサービスの開発、営業から、建築の設計及び建設物の運営に関するコンサルタントまで幅広い事業を行う。


【監修】
野田 拓志
株式会社 ビジネスバンクグループ
経営の12分野ガイド
早稲田大学非常勤講師

大学時代、開発経済・国際金融を専門とし、 その後「ビジネス×途上国支援」を行う力をつけるために一橋大学大学院商学研修科経営学修士コース(HMBA)へ進学。 大学院時代に、ライフネット生命の岩瀬氏や元LINEの森川氏に対して経営戦略の提言を行い、そのアイデアが実際に事業に採用される。 現在は、「社長の学校」プレジデントアカデミーの事業部長として、 各地域の経営者の支援やコンサルティングを行う。2017年4月からは早稲田大学で非常勤講師として「ビジネス・アイデア・デザイン(BID)」を行う。


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