こんな経験、ありませんか?

「え?自分と“同じこと”を言ってるのに、
 何で、あの人の話ばっかり通るの!?」

そう。

言葉は「内容(論理)」だけでは、
伝わらないのです。

では、何が大事なのでしょうか?
本日は、そんな「言葉」のお話です。

「言葉」と「意味の響き」

 小学、中学、高校と、
 私たちは国語の授業で「文法」を
 教わりながら育って来ました。

 だから、人前で話すときにも、
「文法的(論理的)に正しい」ものを
 考えてしまいます。

 しかし、人は「文法(論理)」だけで
 言葉を捉えてはいません。

 そこには「意味の響き」と
 呼ばれるものがあります。

「意味の響き」とは、
 米国の詩人 ロバート・フロストが
 定義した言葉です。

▼「意味の響き」とは?・・・・・・・・

 英語では「sentence sound」。

 語り手のリズムやトーン、
 時折強調される“言葉の響き”だけを
 感じとったもの

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 つまり、「話の内容そのもの」でなく、

  ◯ どう語るか
  ◯ どんな言葉を使うか
  ◯ 何を強調するか

 などによって、
 伝わり方は大きく変わるのです。

 今回はその中でも
「どんな言葉を使うか」について、
 詳しく見ていきます。

相手は「なんとなく」で聞いている

 話し手はついつい、
 こう考えてしまいます。

「聞き手は、自分の一言一句を
  しっかりと聞いている!」

 しかし実際には、相手は
「なんとなく」の状態で
 聞いていることがほとんど。

 語り手の言葉は「部分的」にしか
 相手には届いていません。

「部分的」というのは
 どういうことかというと、

「単語」を途切れ途切れに
 聞いている状態。

「文法」よりも「単語」が
 印象に残ったりするのです。

 どういうことでしょうか?

 例えば、5歳の子どもの、
 こんな場面を考えてみましょう。

 ベッドの下のオバケ

 夜、真っ暗な部屋で、子どもが
 オバケを怖がって震えています。

 あなたなら、
 次のどちらの言葉をかけますか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ①「安心して!ベッドの下に
   オバケなんか居ないよ!!」

 ② 大丈夫。大丈夫。
  (相手をギュッと抱きしめる)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 論理的に考えれば、
 ①の方が「正しい」ように思います。

 しかし実際には、子どもは
 単語の切れ端を受け取ってしまいます。

「ベッド…下…オバケ…」

 結果として、子どもは
 怖がり続けてしまいます。

 この場合は、全く論理的ではない
 ②の方が、相手に安心を与えるのです。

 大人に対して話すときでも、
 同じこと。

 相手は単語を細切れに受け取るので、
 私たちは「言葉」の1つ1つを、
 しっかりと選ぶ必要があるのです。

「意味」だけでなく「言葉」も大事

 例えば、以下の2つの言葉。

  ① 難しい
  ② 簡単ではない

 この2つの言葉は
「意味」としては同じです。

 しかし、相手への伝わり方が違います。

 ②を使えば、相手は「簡単」という
「意味」を受け取ります。

 例えば、チームを困難な局面に
 向かわせるときには、
 こちらの言葉が向いているでしょう。

 相手は「困難ではあるが、
 なんとかできそうだ」という
 ニュアンスを受け取ります。

 一方で、何かを断念する決断を
 チームにさせたいときには、
 ①を使うのが向いているでしょう。

 相手は「できない」という
「意味」を受け取ります。

 同じ言葉でも「伝え方」によって、
「意味の響き」が違うのです。

***

 言葉は、私たちにとって、
 最高の道具です。

 しかし同時に、最も扱いの難しい
 ものでもあります。

 同じ「言葉」でも、
 相手に伝わる「意味」が違っている。

 同じ「意味」でも、
 様々な「言葉」を使うことができる。

 言葉の効果を最大限に引き出す、
 使い方を心がけていきましょう!

ライター:黄塚 森


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