「インサイトって何?」
という人が多いかもしれません。
インサイトとは、消費者の「ホンネ」のこと。
インサイトを捉えたマーケティング・商品開発・広告は消費者の心を動かし、
どうしても商品が欲しくなってしまうのです!
とても奥が深いこのインサイトですが、
桶谷先生はインサイトの見つけ方・活用法を分かりやすく教えて下さいました。
消費者の深層心理を知ることは、どの業界でもとても有益です。
皆様と一緒に学んでいきましょう!
プレミアム・アイスクリームのインサイト:「子供の食べ物だよね…」に対する提案とは?
消費者の本音・潜在意識を知ることで
企業からの提案・広告はどう変化するのでしょう?
プレミアム・アイスクリームを例にとって見てみましょう。
価格としてはデパ地下で売られているスイーツと変わらないのに
プレミアム・アイスクリームは
□ 値段が高い
□ おやつ
□ 子供と一緒の時だけ食べるもの
と消費者に捉えられていました。
そこで桶谷先生が消費者調査を進めて
たどり着いたインサイトは
「アイスって子供の食べ物だよね…」だったのです。
この本音ゆえに、上述のプレミアム・アイスクリームは
□ 値段が高い
□ おやつ
□ 子供と一緒の時だけ食べるもの
という扱いを受けていたのです。
そこで桶谷先生はこのプレミアム・アイスクリームを
「大人のアイスクリーム」である
と理解してもらうためのマーケティングを実施しました。
具体的にはTVCMを始めとした広告において外国人を起用して
非常に大人っぽい演出を施したのです。
結果としてプレミアム・アイスクリームは
□ 高級
□ 一日の締めくくりに食べる自分へのご褒美
□ 本物のデザート
という認知を得ることが出来ました。
このような商品に関するインサイトは「カテゴリーインサイト」と呼ばれています。
もう一つのインサイトは、「ヒューマンインサイト」と呼ばれるものです。
例えば「20代の女性」にプレミアム・アイスクリームをもっと買ってもらうために
ヒューマンインサイトを探っていった時、桶谷先生は20代の女性が
「ゆっくりとした時間を持つことに幸せを感じている」というインサイトに達しました。
そこで桶谷先生は、女性が贅沢な程にゆっくりとした時間を
過ごしているイメージを醸成するTVCMで、プレミアムなイメージを保ちつつも
「今どきのブランド感」を与えることに成功したのです。
成功するインサイトの見つけ方とは?
人のインサイト・本音は、複数あるのです。
ですからせっかくターゲットのインサイトを見つけても
マーケティングには役立たない場合があり得ます。
成功するインサイトの見つけ方として
桶谷先生は2つのことを教えて下さいました。
①新しい需要を創造するインサイトを探る
新しい需要・市場を創造して
消費者の行動を変えてしまうことを目指します。
すなわち、既に世の中にある商品が
満たしていないニーズを探ることであり
プレミアム・アイスクリームであれば
「大人」という新しいターゲットに
1日の終わりに食べるという新しい機会を通じて、自分へのご褒美という
「新しい価値を提供する」ということがそれにあたります。
②「インサイトとプロポジション」をセットで開発する
「プロポジション」とはマーケティング用語で「提案」のことです。
成功するインサイトは、たいていの場合「こんなインサイトがあるのでは?」
と気づくのと同時に「ならばこの提案(プロポジション)がいけるだろう!」と
自然に生まれてくるケースが非常に多いそうです。
「欲しい」と言っていたのに売れない… どうして?
インサイトを探るための調査手法には桶谷先生が独自に開発した様々なものがあります。
今回のセミナーだけでとても説明しきれるものではありませんが
先生はいくつかのヒントを教えて下さいました。
□ アンケートだけでインサイトを探るのは無理
アンケートに書かれた言葉は、実は潜在意識と異なることが多いそうです。
アンケートは、あくまで人の行動を把握するために実施されているのです。
□ 独特な意見でも気にしない
「この人の言っていることは、特殊過ぎて多くの人に受け入れられないのでは?」という
心配は無用とのことです。なぜなら、世の中にはモノが溢れ返っていて
たいていのアイデアはもう実現されているからです。
むしろ変わった人のように思える意見こそ、注目すべきなのです。
□ ダメな仮説はきっぱりと捨て去る
仮説を持ってリサーチをした結果想定していたインサイトが
マーケティングに役立たないと感じた時はきっぱりと諦めることが非常に大切とのことです。
「ここまで時間をかけたのだから…」といってそのインサイトを温存して
マーケティングプランを立てると後で禍根となってしまいます。
米国最大の広告代理店の日本法人で名前を聞けば誰もが知っているブランドの
マーケティングを多く手掛けた桶谷先生。
その講義は実際の事例をふんだんに使い、参加者の皆様に
「一流のマーケッターはこんな考え方をするのか」と、腹に落ちる本当に見事なものでした。
自社の持っている経営資源に都合のよいマーケティングではなく
消費者のインサイトの仮説を立てて消費者目線からマーケティングを行っていくこと。
当たり前のように語られながらも意外に取り組み方がわからないものですが
とても分かりやすく教えて下さった桶谷先生に感謝したいと思います。
セミナー終了後も、気さくに参加者の皆様との名刺交換に応じて下った桶谷先生
本当にありがとうございました!