好きな人に勧められたら、受け入れるのは当然!
私達生活者は、広告よりも「友人の推薦」をより信用します。
ニールセンの調査では、信用する情報源として90%の人が友人の推薦を上げているのに対して、
他の情報源は、テレビ:62%、新聞:61%、バナー広告:33%と軒並み低くなっています。
考えてみればソーシャルメディアがあろうがなかろうが、大好きな友人が勧めることをマスメディアの情報よりも信用するのは当たり前のことでしょう。
ゆえに斉藤 徹氏が次に紹介した「ブランドに対するポジティブなクチコミを見た後に、26%の人が実際に購入・利用している」というデータも、非常にうなずけるものです。
悪いクチコミが、信じられない早さと規模で拡散される時代
□ 駅前のスーパーは魚の鮮度が良い…
□ 秋葉原の電気店では交渉次第で値引きが期待できる…
□ あの百貨店の店員は本当に感じがいい…
□ あの風邪薬はとても効き目が早い…
インターネットがない時代にも、私達は周囲の人に対してクチコミ情報を発信してきました。
しかしマスメディアや広告を使わない限り、多くの人へ素早く伝えることはできませんでした。
誰もがソーシャルメディアを使っている今、私達が素早く多数の友人へクチコミ情報を発信することができるのは言うまでもありません。
今の時代、クチコミは信じられないほどの速度と規模で拡散されます。
たった一つのネガティブなクチコミが、大きな痛手になりかねないのです。 生活者と信頼関係を築けば、ソーシャルメディアは武器になる。
企業がマスメディアや広告を使って、自分たちに望ましい情報だけを流通させてきた時代から、企業にとって隠したい情報も含めて、生活者が縦横無尽に友人とクチコミをシェアできる時代へ変化したことを、斉藤氏は「ソーシャルシフト」と名付けています。
どれだけ企業が自社に都合の良い情報を伝えても、もし別の何かで生活者を失望させたとすれば、そのクチコミ情報はあっという間にソーシャルメディアから耳に入ってきます。
「一方的に情報を与えて顧客をコントロールする」ことは不可能なのです。
では企業は、ソーシャルシフトの時代にどう対応するべきなのでしょうか?
斉藤氏は、ソーシャルメディア上で生活者と対話交流を行い、企業と生活者の間に信頼関係を構築することが大切だと説きました。
「生活者の言葉に耳を傾け、一貫して、企業哲学や顧客との約束を貫く。
その姿勢に、人々は心を打たれ、そのブランドを心から愛するようになる。
ソーシャルメディアを最も追い風にしているのは、心から愛され共感されているブランドだ。」
生活者に愛されている企業は、ソーシャルメディアでの対話交流を通じて自社の付加価値を高める、さらに高いロイヤリティを享受する正のループを実現できるのです。
ソーシャルメディアを武器に、自社の付加価値を高めた具体例 では
実際にソーシャルメディアで生活者と対話交流をして、
自社の付加価値を高めた事例にはどのようなものがあるのでしょうか?
斉藤氏は企業の活動を「商品開発」、「商品販売」、「商品サポート」の3つに分けて、
各々成功事例を紹介しました。
【商品開発】
・Facebookの翻訳 Facebookが海外でサービスを展開する場合、英語から現地の言語へ翻訳をする必要があります。
その際にFacebookはWEB上でボランティア翻訳者を募り、翻訳を任せました。
スペインでは1,500人、ドイツでは2,000人、フランスでは4,000人のボランティア翻訳者が参加して、フランスではわずか2日で翻訳が完了したそうです。
【商品販売】
・ジーンズ製造販売のリーバイス社のオンラインストアでは、
各商品に対して、Facebookで何人の人が「いいね!」ボタンを押しているかが表示されます。
ボタンを押した友人の顔写真も表示され、「お洒落な○○さんが履いているジーンズなら安心」、
「○○さんと同じジーンズは嫌だから別のを買おう」といった買い方を実現しているのです。
【商品サポート】
・ネットワーク管理ソフト開発のSolar Windsでは、ネットワーク管理者25,000人が参加するコミュニティを発売当初から設けています。
コミュニティでは製品への質問が頻繁に提示され、参加者同士が自律的に問題を解決・公開・共有しています。また、Solar Windsは新製品やサービスに対する意見も傾聴して都度アップデートを行っており、コミュニティの存在が競合製品との差別化にも大きく貢献しています。
「宣伝になりますが、11月に発売する新著『ソーシャルシフト』では、より多くの事例を紹介しています」と語り、会場の笑いを誘った斉藤氏。
新著では原稿をFacebookに無料で公開して、約2,000人ものファンに推敲してもらうという新しい試みを実施しました。
ファンの言葉に耳を傾け、寄せられたソーシャルメディアの活用事例を追加することで、斉藤氏が最初に書いた原稿よりもよりクオリティの高い作品に仕上がったとおっしゃっていたのが印象的でした。きっと販売数も過去最高となるに違いありません!