行動科学に基づいたマニュアルが組織を強くする

今回の「教える技術」セミナーは「行動科学」とは何かを理解するために、フジテレビの番組「新報道2001」にて特集された番組映像の一部を見るところから始まりました。番組は、石田先生の会社であるウィルPMが、ある煎餅店の業績が悪い店舗の改革を行うといった企画。行動科学に基づいたマニュアルを作成し、業績を回復させるという内容でした。行動科学に基づいたマニュアルで特徴的なのが、その作成方法。

同一ブランドの繁盛店のできる販売員の動きを観察し、売上アップにつながる「具体的な行動」を抽出し、それを再現性の高い状態で、行動マニュアルに落とし込むという手法をとっていました。
では、行動科学に基づいたマニュアルを作成するためには、人のどういう行動を見て、何をすればよいのでしょうか。

 

できる人とできない人を分ける5%の具体的な行動の違い 

石田先生は言います。

「仕事ができる人とできない人の行動の95%は同じです。残りの5%に非常に大きな差を生んでいる部分があります。そして、リーダーとして大事なことは、その違いを具体的に観察することです。どの行動が違うのかを見極め、今まで暗黙知でしかなかったできる人の行動を形式知に変えていくことが、今のリーダーに求められています」

つまり、具体的な行動で実際に何が違うのかはリーダーが見極めることなのです。そして、部下に望む行動が何なのかを具体化していきます。具体化とは、具体的な行動を言葉として表すこと。できない人には、具体的に何をしたらよいのかを教えてあげることが大切なのです。

 

教える技術があれば「いつ・どこで・誰がやっても同じ結果」が得られる

行動科学マネジメントを行う上で、最も重要なことは「再現性」だと石田先生は語ります。つまり、いつ・どこで・誰がやっても同じ結果が得られるようにすること。そのためには、具体的な行動のマニュアルをつくることや、結果だけでなく、結果を出すための具体的な行動プロセスを評価する評価基準を社内に取り入れることも効果的です。 

 

人ができない理由はたった2つしかない

1、やり方がわからない

2、やり方はわかっているが、継続できない

人ができない理由はこの2つしかない。そして、できない人のほとんどの理由は、やり方がわかっていない。つまり、知識が足りていないのです、と言い切る石田先生。

自分自身の教える技術を考える際には、まず、やり方を具体的に指導し、その後、継続させるための方法を教えればよいのです。

 

やり方がわからない場合のポイントは3つ 

1、結果に直結している行動を分解・言語化する

2、チェックリストをつくる

3、技能の反復トレーニング・系統的脱感作

 

石田先生は、やり方がわからない場合のポイントはこの3つだと解説しました。できるリーダーが共通して持っているのが言語化の能力。具体的な言葉で説明ができることや指示が出せることはできるリーダーであるためには必要不可欠な要素です。

統計的脱感作とは、行動療法の一つで、わかりやすく言うと徐々に慣れるステップづくりです。小さな成功体験を積み重ねることで、やり方がわかるようになり、次第にできるようになっていくでしょう。

 

行動とは? MORSの法則

最後に、石田先生は行動とは具体性を持つものと語り、
それを判断する方法としてMORSの法則を紹介してくれました。

MORSの法則とは、

Measured(計測できる)
Observable(観察できる)
Reliable(信頼できる)
Specific(明確化されている)

この4つの単語の頭文字をとった法則で、この条件を満たしたもののみが行動となります。例えば、「絆を深める」や「ダイエットをする」等といった言葉は、一見、行動を表す言葉のように思えますが、実際には具体的に何をやればよいのか特定できない言葉なので、MORSの法則に沿って判断すると、行動とは言えないものです。

このMORSの法則を活用することで、何が行動なのかを正しく判断することができるので、具体化が誰でも簡単にできるようになる、と石田先生。自分がしっかりと具体化できているかを確認する際や、部下に具体的な指示を出したり、チェックリストを作成する際に常に意識して使いたいと思う法則でした。

”行動科学とは何か”から、”正しい部下への指示の出し方”まで、教える技術をぎゅぎゅぎゅっとまとめてお伝え頂いた1時間半。セミナーの最後には石田氏の熱い思いが詰まった映像に、胸が熱くなりました。これから具体的に何をすればよいかがわかり、明日から活用できる考え方や法則がたくさん詰まった素晴らしいセミナーでした。

 

石田先生、「教える技術」セミナーありがとうございました。